検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

皇居の周りで希少カエルが大繁殖 群れなすオタマジャクシ

詳しくはこちら

この春、東京の中心にある皇居周辺の公園の池で、準絶滅危惧種にも指定されている希少なカエルのオタマジャクシが大繁殖し、関係者を驚かせている(写真A)。数万匹はいるのではないかとみられ、大量のオタマジャクシが群れをなして黒い層をなしている姿は圧巻そのもの。長年、公園の警備を担当している人も「ここでこんなにたくさんのオタマジャクシが孵(かえ)るなんて、見たことも聞いたこともない」と話している。

大繁殖したのはアズマヒキガエルのオタマジャクシ。東京・千代田区の北の丸公園の池(写真B)と、千鳥ケ淵公園の噴水池で、3月下旬から4月上旬にかけて大量に孵化(ふか)した。特に北の丸公園の池では膨大な数が孵り、体長1~3センチ程度の小さなオタマジャクシがあちらこちらで群集・密集しながら泳いでいる。黒い塊となったり(写真C)、細い列をつくったり(写真D)、ときには芸術的な斑紋(写真E)や魚の群れのような模様を描いたり、あまりにも多く集まったために水面がさざめいたり、泡だったりするさまは、目を見張るものがある。

都会の真ん中でオタマジャクシの大行列

中にはカエルが苦手な人もいるだろうが、神秘的な感じさえするオタマジャクシの大行列や大行進の光景を、都心のど真ん中で見れば、誰もが「すごい」と息をのむのではないだろうか。現に筆者の横を通り過ぎた中年女性のグループは「気持ち悪い」と言いながらも「うわー」「これ全部オタマジャクシ?すごーい」「これじゃ池のコイも食べきれないね」などと、しばし感嘆していた。

千鳥ケ淵公園の噴水池は、半蔵門の近くにある目立たない小さな人工池(写真F)だが、ここでもアズマヒキガエルのオタマジャクシがたくさん生まれ、狭い池を我が物顔で動き回っている(写真G)。この狭小な噴水池でカエルが産卵し、大量のオタマジャクシが孵化するというのはほとんど前例がなく、公園を管理する千代田区まちづくり推進部道路公園課の担当者も「おそらく初めてのこと。この噴水池でオタマジャクシの管理をしたという過去の記録はない」と驚いている。確かに、これだけ多くのオタマジャクシの姿は、数十年この近辺に住み、千鳥ケ淵公園をしょっちゅう通る筆者にも記憶がない。

池の清掃時、卵塊を保護

千代田区では桜の開花に合わせて毎年春に「千代田のさくらまつり」を開催しており、例年、開幕の前に噴水池の水を取り換えるなどの清掃作業を行っている。今年も3月中旬に民間業者に委託して清掃を行ったが、その際に噴水池の底に産み付けられた長いひも状の大量の卵塊が見つかった。筆者もこの卵塊を目にしており、まさか捨てられやしないかと内心やきもきしていたが、道路公園課は業者に卵塊を保護するように頼み、清掃中は別の場所に移して作業終了後に元に戻した。「環境面と生物多様性への配慮」が保護の理由だが、「お役所仕事にしては杓子(しゃくし)定規ではない、融通の利いた柔軟な対応」と言ったら失礼だろうか。

アズマヒキガエルは日本固有種であるニホンヒキガエルの亜種で、別名ガマガエル(写真H)。体長は5~15センチ程度。東日本を中心に広く分布し、伝統大道芸の「ガマの油売り」に取り上げられるなど、古くから日本人にはなじみのある身近なカエルだ。普段は陸上で生活しており、繁殖期は水場で産卵するが、孵化してから2~3カ月で子ガエルになって陸に移動する。夜行性で、跳びはねることはほとんどなく、都会でも小雨が降る夜などには公園や神社・お寺、家の庭先などでノソノソ歩く姿が見受けられる。

都は区部で「準絶滅危惧種」に指定

しかし、都市部ではご多分に漏れず、近年めっきり数が減っており、2007年以降は世界中で猛威を振るったツボカビ症の悪影響も心配されている。特に東京都区部では減少が目立ち、専門家からは絶滅の可能性も指摘されている。このため東京都環境局は、保護すべき重要な野生生物種を掲載した「東京都レッドリスト」(2010年版)の中で、アズマヒキガエルを区部において「準絶滅危惧」(NT)種に指定した。これは「現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては『絶滅危惧』として上位ランクに移行する要素を有するもの」という厳しめの判定だ。

そんな希少種のカエルのオタマジャクシがなぜこの春、皇居の周辺で大量に産まれたのか。理由は定かではないが、専門家は気候による影響を一因として挙げている。アズマヒキガエルの卵は産卵からふ化までの気温が低いと、多くの卵がふ化しないまま死んでしまうという。

アズマヒキガエルのオタマジャクシは皇居のお堀(内堀)の1つである牛ケ渕(うしがふち)でも群集する姿が見つかっており、他のお堀や皇居内の池でも繁殖している可能性がある。もちろん、すべてのオタマジャクシがカエルに成長できるわけではなく、多くが成長の過程で魚や鳥、カメ、ヘビなどに捕食される運命にある。この先、オタマジャクシや子ガエルの数は大幅に減るだろうが、それでも生まれてきた数が半端じゃないだけに、相当の数のアズマヒキガエルが皇居の内外で生息することになるだろう。「果たしてどんな状況になるのか。もちろん処分などは考えておらず、見守るしかない」。北の丸公園の管理担当者や警備担当者は今から心配顔だ。

(編集委員 中川内克行)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_