木嶋被告に厳刑へ 連続不審死、判決主文後回し
さいたま地裁
首都圏の連続不審死事件で、男性3人を殺害した罪などに問われ、死刑を求刑された無職、木嶋佳苗被告(37)の裁判員裁判の判決公判が13日、さいたま地裁であり、大熊一之裁判長は主文言い渡しを後回しにして、判決理由の朗読を始めた。大熊裁判長は、起訴された殺人3件を含む10事件全ての有罪を認定。厳しい刑が言い渡される可能性が出てきた。
木嶋被告は2件の詐欺罪以外は一貫して無罪を主張。殺人罪3件について自白や目撃証言などの直接証拠がないなか、検察側が積み上げた状況証拠をどう評価するかが最大の焦点だった。
検察側は論告で、3人にそれぞれ、睡眠薬を飲ませて眠らせ、練炭自殺を装って殺害したと主張。練炭やコンロを事前に購入したことや睡眠薬を大量に入手したことなど状況証拠の共通性を挙げ、「犯人は木嶋被告以外に考えられない」と指摘した。
そのうえで、動機については「ぜいたくな生活を続けるため、インターネットの結婚サイトで知り合った3人の男性から金をだまし取り、関係を断ち切るために殺害した」とし、「極刑は当然だ」と述べた。
これに対し、弁護側は最終弁論で、3人には自殺や事故死の疑いが残ると反論。「疑わしい事件が3件あるから有罪、とすることは許されない」と無罪を求めた。
判決によると、木嶋被告は2009年1~8月に、交際相手だった東京都青梅市の会社員、寺田隆夫さん(当時53)、千葉県野田市の無職、安藤建三さん(同80)、東京都千代田区の会社員、大出嘉之さん(同41)の3人を殺害した。
木嶋被告の公判は裁判員の在任期間が過去最長の100日間に及んだ。最高検によると、裁判員裁判で、死刑求刑事件の判決は18件目。木嶋被告を除くと、死刑が13件、無期懲役が3件、無罪が1件だった。