検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

「自衛隊の歌姫」に続け 越境する音楽家たち

三宅由佳莉と斎藤圭土、マルティナス

詳しくはこちら

普段の舞台から一歩外へ踏み出した結果、全く新しいファンの獲得に成功する音楽家が目立つ。「自衛隊の歌姫」と呼ばれる三宅由佳莉はメジャー・レーベルからのソロ・デビューを成功させた。

ブギウギ・ピアノの兄弟連弾ユニット「レ・フレール」の弟、斎藤圭土はコンポーザー&ピアニストのソロ活動に手を広げる。リトアニアから現れたアコーディオンの新星、マルティナスは「認知度の低いソロ楽器」の魅力を様々な角度から伝えようと、バッハからレディー・ガガまでを収めたデビュー盤を世に問う。「越境する音楽家」たちの素顔に迫る。

第1章 三宅由佳莉、23万自衛官中ただ1人の歌手

ソプラノの三宅由佳莉は「3等海曹」、所属は海上自衛隊東京音楽隊である。2009年4月に新卒で入隊。自衛官23万人中で唯一の歌手として次第に知名度を上げ、フジ系列のテレビ番組が昨年から2度にわたって報道した結果、メジャー・レーベルのユニバーサルがCDデビューを持ちかけた。13年8月28日発売のアルバム「祈り~未来への歌声」(UCCY-1032)はたちまち、クラシックCDの売り上げランキングの1位に躍り出た。

海自東京音楽隊の高野賢一音楽科長(1等海尉)によれば「以前は学生時代に吹奏楽をやっていた者などが自然に集まっていたが、ここ10~15年は音楽大学や音楽学科の卒業生が大半を占める」という。岡山県倉敷市出身の三宅も東京の日本大学芸術学部の音楽学科声楽コースへ進学したが、「最初から自衛隊にあこがれ、音楽隊に入りたいと思っていた」という変わり種。「普通の声楽学生なら、まずは選ばない進路」と笑う。入隊後は一般自衛官と同じ訓練を受けるので、体力にも自信はあるのだろう。「武器ではなく楽器を携えて市民に寄り添い、自衛隊を身近なところで理解してもらいたい」との意志は固い。

 転機は入隊3年目に起きた東日本大震災。三宅自身、「発生直後は音楽を聴く気持ちにならず、ぼうぜんとしていた」。すぐ「自衛官として早く現地に入り、手伝いたい」と思ったが、音楽隊員は「合宿所での待機」を命じられた。

東日本大震災が転機に

最初は全員が意気消沈したが、「いつか困っている人々の前で奏でる日がくる」と信じ、大小さまざまの編成で出かける工夫や幅広いレパートリーへの対応に励んだ。音楽隊は日ごろからクラシックに限らず、演歌やアニメーションソング、童謡など「何でもあり」の構えで、訪問先の要望に応じる。

1カ月後の11年4月、被災地で初めての慰問演奏が宮城県の松島町で実現した。ZARDのヒット曲「負けないで」、文部省唱歌「ふるさと」などを待機中に練習した楽曲から慎重に選び、小ぶりの編成で出かけた。予想以上の歓迎、感激に包まれながら、海自東京音楽隊員たちは被災後の活動方針を見定めた。河辺一彦隊長(2等海佐)は幼いころ交通事故で母親を失った体験を東日本大震災で肉親を亡くした子どもたちの姿と重ね、演奏時間9分を超える大作「祈り」を同年9月に発表。三宅のデビュー盤も、この曲で始まる。

さらに「浜辺の歌」「ふるさと」「翼をください」「『レ・ミゼラブル』より『夢やぶれて』」「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」「アメイジング・グレイス」など音楽隊の定番に、NHKの復興支援ソング「花は咲く」を交え、最後は再び「祈り」で閉じる12曲。三宅の声は伸び伸び清らかでも、「うま過ぎる」ことはなく、すうっと心の中におちる。

これだけ知られれば独立してもよさそうだが、三宅は「がんばっている自衛官の中に自分が存在する事実を『素晴らしい』と実感しているので(独立は)全く考えていない」ときっぱり。「先日も広島県呉市の駐屯地を訪れたら、隊員さんたちが『三宅さんですね』と声をかけてくださり、うれしかった」と屈託がない。海自東京音楽隊ではユニバーサルとの提携を「あくまで自衛隊の広報活動の一貫」(高野科長)と考えており、セカンドアルバム「遥かな海へ」(UCCY-1036)はバンドが主、歌手が従のバランスで製作した。

バンド全体の演奏水準の高さは最後に収められた瀬戸口藤吉作曲の古典(1900年初演)、「行進曲『軍艦』」(通称「軍艦マーチ」)の柔らかく磨き抜かれ、気品さえ漂わせた響きを聴けば歴然だ。音大を出ても演奏で生計を立てられない若者が大半の中、公務員の待遇を保障され、合宿生活で心ゆくまでアンサンブルを究められる自衛隊音楽隊。三宅のブレイクにより、さらに広い活躍の場を得つつある。

第2章 斎藤圭土、レ・フレールから羽ばたくコンポーザー&ピアニスト

神奈川県横須賀市生まれ、7人兄妹の3番目と5番目の斎藤守也、圭土はともにルクセンブルクで音楽を学び、ドイツでブギウギ・ピアノの洗礼を受けた。軽快オリジナル曲を兄弟ならではの息の合った動きで奏でる4手連弾デュオ、レ・フレールを結成して10年あまりになる。

圭土は「連弾のために書いた自作曲が10年で20~30曲に達した。ライブのパフォーマンスを通じてだけでなく、純粋に楽曲を『好きだ』と言ってくださる方が増える中、1台ピアノ4手連弾以外の楽器編成で再現する方向に目が向いた」と打ち明ける。

「斎藤圭土作品集」と副題の付いた新譜、「音楽家たち」(ユニバーサル=UCCY-1033)は「ピアノとバイオリンの二重奏にも合うだろうな」「歌に置き換えたらどうだろう」とアイデアが浮かぶたび、圭土が出会った演奏家たちと試みたコラボレーションの数々を収めている。共演者は「10年間の活動の折々、音楽の一語で結びついた幅広い人脈から、出会うべくして出会ったような人たち」。弦楽四重奏団を率いる東京交響楽団のコンサートマスター、大谷康子とは知人宅のパーティーで知り合って意気投合。新進ソプラノの田中彩子はレ・フレール愛用のピアノ、ベーゼンドルファーをウィーンの工房へ修理に出した折、マネジメント会社オフィスキャトルマンの代表社員、木戸善也が偶然に現地で発掘した。

ブルガリア出身のバイオリニストでロンドンのコベントガーデン・ロイヤル・オペラのコンサートマスター、バスコ・バッシレフは日本でのソロ活動の可能性を探っている時、木戸の網にかかり、「音楽家たち」の録音に参加した。今年7月にはバッシレフと圭土のデュオとして、初めてのライブを東京都内のジャズクラブで行った。圭土は「繊細で美しいバスコの音」がすっかり気に入り、レ・フレールとは別に「バイオリンとピアノのユニットとして定期的に活動しよう」とアクセルを踏んだ。ユニット名はまだ思案中だが、12月には全曲圭土作品というデュオのデビュー盤の録音が決まっている。

レ・フレールをデビュー前から支える木戸の頭には「ブギ・ピアノ4手連弾」の太い幹から守也、圭土それぞれのソロや作曲のほか、異なる分野の演奏家との新たなユニットなど無数の枝葉を育て、長く、多彩な音楽活動の「森」へと育てる図面がしかと描かれているようだ。

第3章 マルティナス、リトアニアから現れたアコーディオンのスター

英DECCA(デッカ)レーベルからの世界デビュー盤、自らのファーストネームを冠した「マルティナス チャルダッシュ~ノスタルジック・アコーディオン」(ユニバーサル=UCCD-1387)のジャケット写真ではクールなイケメン。東京・青山のユニバーサルミュージック本社に現れた本人は、まだ少年の面影を残す優しそうな青年だった。

「日本に来たのは初めて。ヨーロッパのクラシック・アコーディオンはボタン式が主流、ロンドン王立音楽院(RAM)在学中、自分は数少ないピアノ(鍵盤)アコーディオンの学生だった。日本ではむしろ、鍵盤アコーディオンの方が有名と知って、うれしい」

1990年、リトアニア生まれ。ファミリーネームは「レビツキス」という。8歳でアコーディオンの勉強を始め、2008年にRAMに留学、音楽学士号を取得した。欧米各地のコンクールで上位入賞する一方、10年に母国のオーディション番組「リトアニアズ・ゴット・タレント」で優勝。これがネット経由で話題を呼び、メジャー・デビューにつながった。

「ベリオやグバイドゥーリナら現代の作曲家にもアコーディオンのオリジナル作品はあるが、多くの聴衆は『シャンソンの伴奏楽器』程度にしか認識していない。自分は同時代の作曲家とのコラボレーションによる新作初演の一方で、アコーディオンを身近な存在と感じてもらうための活動に力を入れたい」。デビュー盤はブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」に始まり、オペラ、タンゴの名曲、レディー・ガガの「テレフォン」などを経て、ビバルディの「四季」の「冬」で終わる。なぜか雑多な印象はなく、若い感性のきらめきを素直に、肩の力を抜いて楽しめる1枚に仕上がっている。


祈り~未来への歌声

演奏者:三宅由佳莉 海上自衛隊東京音楽隊, 三宅由佳莉
販売元:ユニバーサルクラシック

遙かな海へ

演奏者:海上自衛隊東京音楽隊, 三宅由佳莉, 川上良司
販売元:ユニバーサル ミュージック

音楽家たち

演奏者:斎藤圭土
販売元:ユニバーサル ミュージック クラシック

チャルダッシュ~ノスタルジック・アコーディオン

演奏者:マルティナス
販売元:ユニバーサル ミュージック

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_