原発再稼働へ安全基準了承、首相と3閣僚協議
野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は5日、関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に向けて協議し、原発再稼働のために必要な安全基準を大筋で了承した。今後の協議で同基準に照らし大飯原発の再稼働が妥当と判断できれば、来週にも経産相が福井県を訪れ、西川一誠知事らに再稼働を直接要請する。
5日の協議には、首相と経産相のほか細野豪志原発事故担当相、藤村修官房長官が出席した。
安全基準は経産省原子力安全・保安院が示したもので、保安院が東京電力福島第1原発事故の原因分析を踏まえて作成した30項目の対策が基になっている。大飯原発だけでなく全原発の再稼働を判断する際に適用する。
本来、政府が設置予定の原子力規制庁で定める新規制だが、関連法案は成立のメドが立っていない。現行法を超える安全性確保を電力会社に求める新規制を前倒しするもので、暫定的な措置と位置付けた。藤村長官は5日午後の記者会見で、政府が同基準を承認すれば法制化を検討する考えを示した。
安全基準は所内電源設備や冷却・注水設備、格納容器破損、管理・計装設備の対策実施を終えていることを明記。電力会社には安全性・信頼性向上に向けた対策の実施計画の提示や不断に実施していく事業姿勢の明確化を求めている。
首相らは6日に3回目の会合を開いて安全基準を最終確認する。その後、経産相が関電から事業姿勢などを聴取するとともに、再び首相と3閣僚の協議で同基準を大飯原発の現状と照らし合わせて再稼働の妥当性を判断する。手続きが順調にいけば来週にも福井県やおおい町を訪れ、再稼働を要請。首相らは滋賀県や京都府など近隣自治体の反応も加味して再稼働を最終判断する。
安全基準は福井県やおおい町が再稼働条件の一つとしており、再稼働に向けて地元の理解を得るのが狙い。首相が3日の3閣僚との初協議で作成を指示した。
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