愛知県、震災がれき100万トン受け入れ発表
県内で3候補地
愛知県は5日、東日本大震災で発生したがれきについて、岩手、宮城両県から最大100万トンを受け入れると発表した。中部電力とトヨタ自動車の最終処分場など県内3カ所を候補地とし、同日午前、両社に対し処分場の借り受けを要請した。記者会見を開いた大村秀章知事は、「急いで受け入れるために、施設を作って全力で取り組みたい」と述べ、県の決定に対する理解を求めた。
候補地として挙げたのは、名古屋港南5区(知多市)のほか、中部電力碧南火力発電所(碧南市)とトヨタ自動車田原工場(田原市)の廃棄物最終処分場。焼却前の分量で名古屋港は50万トン、碧南火力は33.5万トン、田原工場は16.5万トンを受け入れ可能と試算している。今後専門家らと協議し、放射性物質の濃度など独自の受け入れ基準を設定する。
県は中部電とトヨタに対して、工場や発電所の操業や将来の土地利用に障害が生じないよう、がれき処理が終了するまで県が主体となり責任を持って進めるとの文書を手渡した。また、がれき処理を都道府県に要請している国に対する回答書を同日付で発送した。
県の要請に対して中部電力は5日、「県が地元の皆様の理解を得ることを前提に、県の計画の受け入れ可能性について技術的な検討をする」との水野明久社長名義での回答書を大村知事に提出した。同社は碧南火力の運転に支障が生じないことを前提に、受け入れの可否を判断する。
トヨタ自動車は、「廃棄物の安全確保はもとより、幅広い地元の理解と協力なしで進めていくことは困難」とした上で、「周辺住民の合意形成は県が責任を持って主体的に取り組むと伺っており、そのことをお願いしたい」とコメントした。
また大村知事は、受け入れの検討にかかる調査費用として、6億円の予算措置をすると発表。がれきの搬入方法の検討や、仮置き場の設計費に充てる。東日本大震災では、推計で2252万トンのがれきが発生。東京都は最大で50万トンを受け入れるとし、すでにがれきの処理に着手している。