ドコモ、日韓のスマホ半導体合弁中止 技術流出懸念
富士通、サムスンなど5社と計画
NTTドコモは2日、富士通や韓国サムスン電子など国内外のメーカー5社と共同で計画していた、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)向け通信用半導体を開発する新会社設立を断念すると発表した。同製品はスマホの主要部材。高い世界シェアを握る米国勢に日韓連合で対抗する思惑が崩れ、市場に対応した端末開発で制限を受ける状態が続きそうだ。
計画ではドコモは半導体開発の新会社を設立し、50%超を出資。富士通、富士通セミコンダクター、NEC、パナソニックモバイルコミュニケーションズ、韓国サムスン電子が残りを出資する予定だった。
高速携帯電話サービス「LTE」向けの通信用半導体を開発して各社のスマホに搭載。開発した半導体はアジア市場などへ外販する方針だった。共同出資会社の前段階となる準備会社の「通信プラットフォーム企画」は6月をめどに清算する。
富士通など国内メーカーは半導体技術が海外に流出するのを懸念。技術を相互にオープンにしたいサムスン側の条件提示をのめず、交渉が行き詰まったもようだ。
また、官民ファンドの産業革新機構が音頭を取る形で、ルネサスエレクトロニクス、富士通、パナソニックの3社がシステムLSI(大規模集積回路)事業統合交渉を開始。スマホ向け通信半導体も中核の事業領域として視野に入れている点も、ドコモの新会社設立計画が頓挫した一因となったとみられる。
スマホ向けの通信用半導体は米クアルコムなどが高いシェアを握り、スマホの機能開発を主導している。ドコモなどの新会社設立には対抗軸をつくり、スマホの技術力強化や低コスト化につなげる狙いがあったが、断念により中核部材の外部依存が続くことになる。