亀井代表、苦肉の「連立離脱」 国民新党は分裂状態
国民新党の亀井静香代表が29日、連立政権の解消を野田佳彦首相に伝えた。消費増税関連法案の閣議決定に反対していることが理由で、東京都の石原慎太郎知事を党首とした新党結成をにらむ思惑もある。ただ、党内には離脱への慎重論が根強く、同党出身の自見庄三郎金融相が閣内に残留することは認める「苦肉の策」をとった。同党は消費増税への対応を巡り、分裂状態になっている。
「閣議決定するなら連立に残るわけにはいかない」。29日夜、首相公邸での約2時間に及ぶ会談で、亀井代表は連立離脱を主張し続けた。首相は「それは困る。ぜひ連立を継続してほしい」などと再考を促したものの、平行線をたどった。
亀井代表が連立離脱に突き進む理由は消費増税だけではない。亀井代表は消費増税法案が否決され、首相が衆院解散に踏み切ると想定。4月にも「石原新党」を結成する準備を進めており、衆院選を視野に野田政権との対決姿勢を強めたい戦略だ。
所属議員8人の同党で、明確に離脱方針に同調しているのは亀井亜紀子政調会長だけだ。党首会談の後、亀井代表は党本部で「自見金融相は無所属として閣議でサインする」との案に理解を求めたが、下地幹郎幹事長らは「私たちは連立を離脱しないことを決めており、承服できない」と反対した。党首会談で亀井代表が不在の間、残留派は「議員総会」を開き、連立にとどまる方針で一致した。
離脱で押し切って金融相に閣議での署名を拒否させようとすれば党が分裂すると懸念した亀井代表が考えたのが、金融相らを無所属にして政府内にとどめる案だ。首相にとって、消費増税法案の閣議決定には影響がなくなり、政権基盤への打撃は極めて小さくなる。
首相は30日朝、閣議の前に再び亀井代表と会談する。亀井代表は金融相が国民新党として閣議で署名するのであれば罷免するよう首相に求める構えで、国民新党内はなお揺れている。