延命治療しない医師免責 議連が法案、終末期患者の意思なら
超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」は22日、終末期の患者が延命措置を望まない場合、延命治療をしない医師の責任免除などを柱とする法案を初めてまとめた。終末期かどうかは2人以上の医師が判断。「延命措置の不開始」の意思表示には書面が必要としている。
議連は各党内の議論を経た上で、今国会で議員立法の提出を目指すが、「尊厳死」を巡っては賛否が割れており、法案提出の行方は不透明だ。
法案は22日の議連総会で「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)」として提示された。
「終末期」について「患者が傷病について行いうるすべての適切な治療を受けた場合であっても、回復の可能性がなく、かつ、死期が間近であると判定された状態」と定義。終末期医療の知識や経験のある2人以上の医師の判断が一致した場合を「終末期状態」の患者と規定した。
その上で、延命措置を新たに始めない要件として、患者が延命治療を希望しないことを書面で意思表示している場合と明記。すでに行われている延命措置の中断はできないとしている。
延命措置の対象は人工呼吸器だけでなく、点滴などによる栄養や水分の補給などとした。
「延命措置の不開始」の意思表示は15歳以上とし、臓器移植法とは異なり、家族の判断は含めなかった。こうした患者本人の意思を尊重した場合、医師については民事、刑事、行政上のいずれの責任も問われない。
議連総会には各団体が出席した。日本尊厳死協会が「希望通りの死を迎えられていない患者が多い。法案は延命措置の中止は盛り込まれていないが、患者の意思が尊重されている」と賛成を表明。障害者団体「DPI(障害者インターナショナル)日本会議」は「終末期の認識は個々人で異なり、法律で決められない。白紙撤回すべきだ」と強く反発した。