国籍喪失規定は合憲、海外生まれで3カ月内の手続き 地裁判決
海外で生まれ日本と外国の国籍を両方取得した日本人の子が日本国籍を持ち続けるには、出生後3カ月以内に手続きが必要などとする国籍法の規定は違憲だとして、フィリピンで生まれた27人が日本国籍があることの確認を求めた訴訟の判決で、東京地裁(定塚誠裁判長)は23日、規定は合憲との判断を示した。
その上で、法務局職員のミスで手続きができなかった1人については国籍があることを認め、残る26人の請求を棄却した。原告側によると、国籍法の同規定についての司法判断は初。原告側は控訴する方針。
訴えたのは日本人の父とフィリピン人の母を持ち、フィリピンで生まれた27人。親が規定を知らなかったなどの理由で3カ月以内に手続きがされず、国籍を失った。原告側は「日本で生まれればそのまま国籍を持てるのに、海外で生まれたばかりに国籍を失うのは不当な差別だ」などと主張した。
定塚裁判長は判決理由で「国籍法の規定は二重国籍の発生をできるだけ防ぎ、日本とつながりの薄い人が形骸的な日本国籍を取得するのを防止するもので、立法目的は合理的」と指摘した。
マニラ在住の原告女性(21)は判決後、「父は日本人なのに、私の国籍はなぜ認められないのか」と涙交じりに話した。
法務省の話 判決内容を十分検討し適切に対処したい。