JXエネ、被災した仙台製油所の生産再開
JX日鉱日石エネルギーは9日、東日本大震災で被災した仙台製油所(仙台市)が本格的に生産を再開したと発表した。系列特約店向けの製品供給に加え、他の石油元売りとのバーター取引も出荷設備が整い次第再開する方針。東北唯一の製油所が動き出したことで、復興需要が高まる軽油など東北向けの燃料油の供給体制が震災前に戻る。
復旧にかかる費用は進行中の工事なども含め500億円。石油精製能力は日量14万5千バレルと震災前と同じ。1月から精製設備で試運転を始めており安全性などが確認でき、本格再開を決めた。
津波被害が大きかったタンクローリーの出荷設備は、製油所内の1.1メートル高い地区に全面移転した。現在37レーンまで回復した出荷設備は今秋までに52レーンに増やす。建物の1階にあった制御システムや電気設備は2階以上に上げ、津波の影響を受けにくくした。
同製油所からは通常時、宮城県中心にローリーでガソリンなどを陸上供給するほか、内航船で東北太平洋岸の油槽所に送ってきた。東北でのJXエネルギーの燃料油シェアは約40%と全国平均より5ポイント高い。復旧により、他の製油所から東北に転送するコストが削減できるようになる。