NY円、続伸 85円05~15銭 FOMC受け、一時84円台
【NQNニューヨーク=滝口朋史】21日のニューヨーク外国為替市場で円相場は続伸し、前日比60銭円高・ドル安の1ドル=85円05~15銭で終えた。米連邦準備理事会(FRB)が同日開いた連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で、追加的な金融緩和に踏み切る用意があると言及した。ユーロやオーストラリア(豪)ドルなど相対的に金利の高い通貨に対してドルが売られ、対円でもドル売りが活発になった。一方、85円ちょうどを上回る円高・ドル安水準では日本政府・日銀による円売り介入への警戒感が強まり、円の上値は限られた。
FRBはFOMC後の声明文で「必要なら追加緩和を実施する用意がある」と言及。米国の金融環境が今後一段と緩めば、低金利のドルを借りてユーロや豪ドルなど高金利通貨に投資する動きがさらに強まるとの思惑が広がった。豪ドルやユーロに対するドル売りが膨らみ、円は84円97銭と15日に政府・日銀が介入に踏み切って以降、初めて84円台まで上昇する場面があった。
一方、85円ちょうどを上回る円高・ドル安水準では円相場は伸び悩んだ。日本政府・日銀による介入に対する警戒感がくすぶっているうえ、円も豪ドルやユーロなど高金利通貨に対して売られ、一段と円を買い進む動きは乏しかった。
朝方発表の8月の米住宅着工件数は2カ月連続で増え、市場予想も上回った。米景気の先行きに対する過度の警戒感が後退し円売り・ドル買いが出る場面があった。ニューヨーク市場の円の安値は、朝方に付けた85円53銭だった。
円は対ユーロで3営業日ぶりに反落し、前日比95銭円安・ユーロ高の1ユーロ=112円80~90銭で終えた。アイルランドなどが実施した国債入札が順調な結果になったことから、ユーロが円やドルに対して買われた。FRBの声明を受けて低金利通貨の円を売って相対的に金利の高いユーロなどを買う動きが強まった面もあった。
ユーロは対ドルで大幅に続伸し、前日夕の1ユーロ=1.30ドル台後半から1.32ドル台後半に水準を切り上げた。一部欧州諸国の国債入札が順調だったうえ、米FRBが追加の金融緩和に踏み切るとの観測が強まったことでユーロ買い・ドル売りが膨らんだ。一時は1.3288ドルと8月9日以来、約1カ月半ぶりの高値を付けた。この日のユーロの安値は朝方に付けた1.3106ドルだった。
豪ドルも対米ドルで上昇し、一時1豪ドル=0.9565米ドルと、約2年2カ月ぶりの高値を連日で更新した。米国の金融緩和期待が強まったことで低金利の米ドルを借りて代表的な高金利通貨の一つである豪ドルを買う動きに拍車がかかるとの見方が広がった。