中国、レアアース輸出さらに3割削減か 現地紙報道
【北京=高橋哲史】中国政府系英字紙のチャイナ・デーリーは19日、中国商務省筋の話として、同国が来年のレアアース(希土類)の輸出許可枠を今年よりも最大で30%減らすとの見通しを伝えた。中国政府はすでに今年のレアアースの輸出枠を前年比で4割削減しており、供給が一段と滞れば、世界有数の消費国である日本の自動車や家電メーカーの生産に影響が出るのは必至だ。
中国商務省筋はレアアースの輸出許可枠を減らす理由について「資源枯渇の恐れ」を挙げた。「現在のペースで生産を続けると、中国では(価値の高い)重量が重いレアアースは15~20年で枯渇する可能性がある」とし、少なくとも来年前半は輸出許可枠の削減を続ける必要があるとの考えを強調した。
中国はレアアースの世界生産量の9割超を握る。今年に入って中国政府が採掘権を持たない違法業者の取り締まりを強化したり、輸出許可枠を大幅に削減したりしたため、レアアースの価格は高騰している。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件をめぐって日中関係が緊迫した際は、対日輸出を一部止める強硬策にも出た。日本政府と産業界はレアアースの輸出枠を拡大するよう中国政府に求めている。