小惑星イトカワの微粒子と確認 はやぶさ回収物
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は16日、小惑星探査機「はやぶさ」のカプセルに、小惑星「イトカワ」の微粒子を確認したと発表した。約1500個見つかった10マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル大の粒子のほぼすべてが地球の物質と明らかに違うことが電子顕微鏡で判明。小惑星以外で混入したとは考えられず、イトカワ由来と断定した。月以外の天体に着陸して採取物質を地球に持ち帰るのは初めて。
はやぶさの地球帰還は、日本の技術力を世界に示した。小惑星の微粒子採取にも成功し、世界に先んじて太陽系の成り立ちの解明を急ぐなど宇宙の基礎科学でも世界をリードできる。無人探査技術を強みに、日本が宇宙開発で存在感を増す好機になる。
地球や火星のような大きな惑星は、小惑星などが合体して形づくられたとみられている。
地球では溶けてしまった物質も小惑星には残る。太陽系が生まれた当時の物質を残す「宇宙の化石」といえ、太陽系の成り立ちを解明する手がかりとなる。これまでは小惑星の物質を手に入れる手段がなかったが、日本が突破口を開いた。
はやぶさは6月の地球帰還時にカプセルをオーストラリアの砂漠に落下。JAXAが回収し、米航空宇宙局(NASA)や大学の協力も得て内部の微粒子を調べてきた。
分析チームは微粒子の含有成分を詳しく分析した。鉄とマグネシウムの割合は、当てはまる地上の物質がなかった。隕石(いんせき)に似ていることなども突き止め「地球外物質であり、小惑星イトカワ由来である」と断定した。
はやぶさは2005年、地球から約3億キロメートル離れたイトカワに着陸。このときに舞い上がった微粒子を、カプセルに詰め込んだとみられている。