鳩山前首相「温暖化対策、あまりに遅い」 国連会合に出席
【ニューヨーク=杉本晶子】鳩山由紀夫前首相は19日、ニューヨークの国連本部で開いた「地球の持続可能性に関するハイレベル・パネル」の第1回会合に出席した。鳩山前首相は記者団に対し、温暖化対策への国際的な枠組みについてこの1年間で「進展があまりにも遅い、あるいはない」などと述べた。そのうえで「世界での日本の役割をもっと高くしていかないといけない」と語り、途上国支援などに一段と注力する考えを示した。
鳩山前首相は記者団に、昨年9月の国連総会で首相として公約した「2020年までに、温暖化ガス排出量を1990年比で25%削減するという目標は日本として変わっておらず、必ず果たしていく」と強調した。
昨年12月の第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)で示された温暖化防止の合意内容については、「誰も満足していない」と指摘。その背景を「国と国のエゴがぶつかり、結果として、地球環境がどんどん悪い方に進んでいってしまう」と説明した。
「内政が厳しいなか、年々、政府開発援助(ODA)にお金が回らない」としながらも、環境対策で途上国援助にさらに積極的に取り組む考えを示した。12年までの3年間で150億ドル(約1兆2800億円)を拠出する途上国支援策「鳩山イニシアチブ」は、約3分の1を実施したという。
同パネルは国連の潘基文(バン・キムン)事務総長の肝いりで発足し、世界の政治指導者や有識者など21人で構成。11年末までに、温暖化防止と経済成長の両立に向けた報告書をまとめる予定だ。潘事務総長は19日の記者会見で、パネルでの議論が「気候変動に関する政府間交渉に寄与する」と期待感を示した。
一方、鳩山前首相は第1回の会合では「(各国の)議論が分散している」といい、「15カ月の間に報告書をつくるのは並大抵のことではない」との認識を示した。