中国、携帯電話に実名登録制 個人情報の管理強化
中国政府は9月から携帯電話の通話契約に実名登録制度を導入した。政府は導入目的に詐欺などの犯罪防止を挙げるが、携帯電話は政府への抗議活動の連絡手段に使われており、個人情報を管理して治安維持に役立てる狙いも透けて見える。中国の携帯電話利用者は世界最大の約8億人で、半分以上は実名を登録していないもよう。北京市内でも導入が徹底できておらず、今後の実施状況に注目が集まる。
中国の携帯電話は携帯電話端末と電話番号が付与されているSIMカードが別々になっており、利用者は端末を購入してからSIMカードを挿入して利用する仕組み。SIMカードの7割以上は道ばたの新聞販売店などで売られるプリペイド式で、SIMカード購入に身分証明書などの提示は必要なかった。
今月1日から、SIMカードを購入して利用するまでに、携帯電話会社の窓口で身分証明書を提示することが義務付けられた。ただ、北京市内の新聞販売店主(46)は「一般庶民は実名登録制を嫌がっており、登録義務のない古いSIMカードの人気が出ている」と話す。(北京=多部田俊輔)