ロシア大統領の国後訪問、海外メディア相次ぎ速報
日本の外交「困難に直面」など指摘
ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問を海外メディアは相次いで速報した。日本と中国との尖閣諸島を巡る対立が激化する中、菅直人政権の外交運営がさらに難しくなりそうだとの見通しを示している。
中国国営の新華社はメドベージェフ大統領の国後島訪問とともに、前原誠司外相がベールイ駐日ロシア大使を呼んで抗議したことも伝えた。北方領土問題の経緯も配信するなど高い関心を示した。中国政府は北方領土問題を巡る日本政府の態度硬化が尖閣問題にも波及するのかなど、日ロの動きを注視している。ただ、日中関係にも配慮し、北方領土問題でロシアに肩入れする立場は見せていない。
韓国の聯合ニュースは大統領の北方領土訪問に関して「ロシアと中国が日本を挟み撃ちしている」と報道。中国と東南アジア諸国の南沙諸島問題も含め「相次ぐ領土問題で東アジアが荒波に包まれている」と指摘した。
ロイター通信は「中国との関係修復に必死となっている日本に新たな外交上の騒動を引き起こすもの」と指摘。尖閣問題への対応などが批判され支持率が40%程度まで急落した菅首相にとって打撃になると解説した。
一方、PTI通信などインドの主要メディアは大統領の北方領土訪問を報じておらず、印政府もコメントしていない。インドにとってロシアは伝統的な友好国であり、最大の兵器供給国。12月に予定されている同大統領の訪印を控え、ロシアを刺激したくないとの判断が働いたとみられる。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)はロシア最高首脳の北方領土訪問は初めてと紹介。「中国との厳しい対立を抱える中、日本政府にとって大きな頭痛になる」と指摘した。
AFP通信は「アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でロシア大統領が訪日する前だけに両国関係は複雑化しそうだ」と指摘した。
AP通信は北方領土は「ソ連崩壊後、軽視され、人口も減少してきた」としながらも、漁業資源に加え、海底油田や天然ガス、金などの鉱物資源が豊富だと報じた。