銀行間送金網、フィンテックに22年度開放 全銀協発表
全国銀行協会は14日、銀行間の送金インフラをフィンテック企業に開放すると正式に発表した。必要となる制度やシステムを検討するワーキンググループを設け、2022年度中にフィンテック企業が銀行と同条件でインフラに直接参加できる仕組みを整える。
送金インフラである「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」の改革を議論するため、20年5月に設けたタスクフォースが報告書をまとめた。
全銀システムはほぼ全ての銀行や信用金庫、信用組合が参加し、一日約650万件の決済を処理する。参加者を預金取扱金融機関に限ることで高い安全性を維持してきたが、公正取引委員会が20年4月に全銀システムの閉鎖性や高止まりする銀行間手数料を問題視する報告書を発表。当時の安倍晋三首相も手数料下げを求め、政治の力も加わる形で議論が進んできた。
今後はフィンテック企業が参加するための具体的な手法を議論する。全銀システムに直接参加するには日銀の当座預金を開設しなければならない。決済の不履行を防ぐため一定の担保を差し入れることが必要で、安定した財務基盤やリスク管理体制も求められる。日銀や金融庁も検討に加わり、フィンテック企業に求める水準を定める。直接参加が認められない場合に、銀行へ決済を代行してもらう方式での間接参加も検討する。
フィンテック企業にとっては銀行に支払ってきた振込手数料がなくなりコスト削減につながる。一方、小口決済がサービスの軸である企業にとっては参加の要件が厳しすぎる課題があった。
これとは別に3メガバンクやりそな銀行などが20年8月に少額決済専用のインフラ「ことら」を新設すると発表。22年度早期の稼働を目指すとした。フィンテック側の要望を反映した現実的な解決策として示したものの、フィンテック企業側は全銀システムそのものの改革も求めてきた。