乳がん検診、痛くない 島津製作所が新型撮影装置
マンモグラフィー(乳房エックス線撮影検査)と聞いて、顔をしかめる女性は少なくないのではないか。乳房にしこりや皮膚のひきつれが見つかった時に、がんかどうかを調べる検査で、女性の健康を守る強い味方なのだが、課題はその痛さ。検査装置で胸部を撮影する際、乳房を引っ張って押しつぶす姿勢になるため、「脂汗をかきながら歯を食いしばらないと、とても耐えられない」(東京都狛江市在住の30代主婦)との感想を持つ人も多い。
精密機器大手の島津製作所は、女性をマンモの痛みから解放する取り組みを続けている。4日に発売した新型の陽電子放射断層撮影装置(PET)は、女性の検診の負担を大幅に軽減したのが特徴だ。ベッド型の装置の上にうつぶせになり、穴の部分に乳房を入れて片側ずつ撮影する。検診で乳房を挟まず、圧迫による痛みがない。
新製品の名称は「エルマンモ アヴァン クラス」。2014年9月に発売した乳房専用PET「エルマンモ」の後継機となる。乳房を入れる穴の周りには小型の検出素子を配置し、近距離から乳がんを検出する。全身用PETに比べて約2倍の解像度で撮影できることも強みだ。両胸の検査は15分程度で終わる。
検出部分を上面に近づけるなど改良を加え、前機種より乳房の根元部分まで正確に検査できるようになったという。検診時に顔を乗せる部分のくぼみを深くするなどの工夫もあり、楽な姿勢で検査できるという。
価格は3億5千万円(税別)から。発売から3年間で国内の医療機関に50台を販売する目標だ。医用機器事業部で同製品を担当する高橋宗尊グループ長は、「女性への負担が少ない検査装置で乳がんの検診率を高めて、がんの早期発見に貢献したい」と話す。
新製品への女性の期待も大きい。「マンモグラフィーの痛みが嫌で、ここ数年は超音波検査ばかりだった。痛みや体の負担の少ない機器があれば検査を受けてみたい」(東京都港区在住の40代の会社員)
国立がん研究センターによると、女性のがんの罹患(りかん)数の部位別では乳がんが1位だった。罹患者は30歳代から増加をはじめ、40歳代後半から50歳代前半でピークを迎える。がんは早期に発見して適切な治療を施せば、死亡率を下げられる。
(浦崎健人、佐藤史佳)
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