栃木で雪崩、高校生ら8人死亡 40人けが
27日午前8時半ごろ、栃木県那須町の那須温泉ファミリースキー場で雪崩が発生し、第2ゲレンデの上方で登山講習中の高校生らが巻き込まれた。県立大田原高山岳部の男子生徒7人と顧問の男性教諭1人の計8人が死亡し、重傷者7人を含む計40人がけがをした。県警が詳しい状況を調べている。
専門家は古く固まった積雪の上に降り積もった新雪が滑り落ちる「表層雪崩」の可能性を指摘している。気象庁は26日、那須町に雪崩注意報を発令。27日午前にかけて30センチ以上の積雪があるなか、なぜ登山講習を行ったのか。県警は業務上過失致死傷の疑いもあるとみて調べている。
県教育委員会によると、毎年恒例の講習会は県高校体育連盟が「積雪期登山の正しいあり方の理解」を目的に主催。25~27日の日程で、県内7校から生徒51人と教諭11人の計62人が参加した。
27日は那須町の茶臼岳の山頂まで登る予定だったが、雪のため早朝に中止を決定。20日に今季の営業が終わったスキー場での「ラッセル訓練」と呼ばれる雪上歩行訓練に変更した。計48人が参加した訓練は林の中で行われ、生徒らは5グループに分かれ、大田原高のグループが先頭だった。
雪崩は生徒らが安全な登山を学ぶはずの講習中に発生した。旧文部省は1964年以降、高校生の冬山登山を原則控えるよう各都道府県に通知を出している。ただ、74年には「高校生の冬山登山は安全な場所での基礎的訓練の範囲にとどめる」との通達も出しており、「学校や教諭らの判断によるところが大きい」(スポーツ庁担当者)。
日本山岳ガイド協会(東京)の磯野剛太理事長は「注意報だけで安全を判断するわけではないが、傾斜と積雪があれば雪崩のリスクはある。那須は雪崩が少ない地域とされ、慣れや判断ミスがあったのかもしれない」と話している。