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「完璧求めず余裕を」 くまモン生みの親・小山薫堂氏のヒットの極意

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 日本から世界的なヒットが出なくなって久しい。日本企業がかつての輝きを取り戻し、存在感を再び示すにはどうしたらいいのか。景気の波や時代の変化に負けず、常にヒットを飛ばし続けるヒットメーカーたちに、人気を生むアイデアの発想法を聞いた。
 初回は放送作家の小山薫堂氏。「カノッサの屈辱」「料理の鉄人」などのテレビ番組をヒットさせ、最近ではプロデュースした熊本県のPRキャラクター「くまモン」が全国で人気に。同氏は「日本企業は隙のない完璧な製品を作りすぎる。もっと余裕や振れ幅を設けるべきだ」と提言する。

――日本製品の魅力はなぜ薄れてしまったのか。

「一つ一つの製品は使ってみると魅力的に感じるものが少なくない。ただ操作がものすごく複雑だったりする。対照的に米アップルのiPhoneはとてもシンプルだ。アプリで自在にその姿や役割を変えることができるのもいい。言ってみれば、使い手に自由を認めているといえる」

「日本の製品は作り手の思いが強すぎるのではないか。隙がない完璧さを求めすぎている。このように使ってください、それ以外の使い方はできません、といった注文をつけられているような気がする。これでは今の消費者には受け入れてもらえないだろう」

「消費者は自分たちのライフスタイルに合わせ、製品やサービスに"ちょい足し"することを志向し始めている。食材で始まった流れが、家電などにも広がってきた。受け手が育てようという気持ちになる製品を作らなければいけない。それを良しとしない姿勢や考え方に問題がある」

――では、どうすればいいのか。

「どんな製品でも、まずは消費者の生活のワンシーンに置かれた場面をイメージしなければいけない。その上で、製品を前にした消費者自身が、こんな新しい利用法ができそうだ、と考えを巡らせるようなコンセプトを考える。製品に余裕や振れ幅を設けるといってもいいだろう」

「世界の市場で綿密な調査をしているマーケティングの専門家なら、消費者の変化に気付いているはずだ。ただ今までのやり方でモノが売れ過ぎた。成功体験をベースに事業を続けたので、多くの日本メーカーが痛手を被っているのだろう」

「個人的には市場環境が悪くなったというよりも、しぼんで元に戻ったように感じている。だったら今の状況を悪いととらえるべきではない。過去のしがらみを捨てる好機と考え、消費者が求めている製品を真摯に作っていくしかない」

――ちょい足しの発想を、自分ではどう生かしてきたのか。

「2007年に始めた東京スマートドライバープロジェクトなどは好例だろう。市民が主体となって交通安全の意識を広めていこうという活動で、最初は首都高速の交通事故を減らすため、意識の高いドライバーが自発的に安全情報を発信し、共感の輪を広めていこうといった内容だった」

 「私が作ったのは枠組みだけだ。まず都内で活動が広がり、やがて他の地域に勝手に連鎖していった。今では全国28カ所で同様の活動が実施されている。消費者たちが、自分たちで少しずつちょい足ししながら考え、行動してくれた」

――大ヒットしている「くまモン」も、住民を巻き込んだ仕掛けづくりに特徴がある。

「くまモンを使った熊本県のPRキャンペーンが成功したのも、住民たちが自ら動き出すような仕組みだったからだ。従来の観光キャンペーンは、地元の商店や施設に予算を割り当て、一般住民は無関係だった。その反省を踏まえ、熊本に住む人々にフォーカスが当たるようなPRビデオを作り、動画共有サイトで公開するなどした」

「その結果、熊本に住む人が熊本に誇りを持ち、熊本に生まれてよかったなぁと思う風潮が広がった。その輪が県外にも波及したことが、くまモンのブームを作り出した。最初から熊本に人を呼ぶためのキャンペーンだったら、くまモン人気はなかったと思う」

――ヒットに結び付く仕掛けをどうつくっていけばいいのか。

「まず物事のとらえ方や視点を劇的に変えなければならない。例えば日本の伝統工芸からヒントを得るなど、本業とかけ離れたところに思いを巡らせてみてはどうか。先日、南木曽ねこという長野県で作られるちゃんちゃんこについて知った。この保温の工夫を生かせば、世界で通用する防寒具を作れるかもしれないと思った。埋もれているアイデアは世の中にたくさんある。そういうお宝に目を配る視野の広さを常に持てるかが肝心だ」

記者の目

 
 数々のテレビ番組をヒットさせた放送作家の小山薫堂氏。都内にあるオフィスを訪ねると、なぜか入り口が見あたらない。困ったあげくにビルの1階にあるパン屋の店員に尋ねると、レジの脇を抜けた先がオフィスになっていた。これも小山流の遊び心なのだろう。
 オフィスには小山氏の知恵や発想を請うため、ひっきりなしに客が訪れる。取材の日も客が列を作って順番を待っていた。だが、前の客が終わって30秒とたたないのに、小山氏はゆったりとよどみなく自分の考えを述べ始めた。この頭の切り替えの早さが、アイデアの大量生産を支えている。
 小山氏が顧問を務める日光金谷ホテルに宿泊したことがある。部屋の中には本のほか、映画、音楽などのソフトがいくつも用意されていた。昔と今を融合した独特の雰囲気と合わせ、わくわくする気分になった。自分で「ちょい足し」しながら滞在を楽しんだ効果かもしれない。ヒットの極意は間違いなくそこにありそうだ。(高田学也)

企画は日経産業新聞のビジネススキル面で、9日付の紙面から3日間にわたって連載する予定です。「踊る大捜査線」など映画のヒット作を次々に生み出しているフジテレビジョン常務の亀山千広氏、ソフトバンクモバイルの「白戸家シリーズ」など話題のCMを数多く手がける電通のCMプランナー、沢本嘉光氏が登場する予定です。

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