フェイスブック、「偽ニュース」対策を独で導入
【シリコンバレー=兼松雄一郎】米フェイスブックは15日、ドイツで偽ニュース対策を数週間以内に始めると発表した。フェイスブックは偽ニュースの拡散を放置し、昨年の米大統領選に影響を与えたと批判され、米国でも対策を始めたばかり。ドイツで今秋に総選挙があるのを前にロシアからの情報工作などへの警戒感が強まっているのに対応する。
フェイスブックが米国で始めた偽ニュース対策を海外でも導入するのは初めて。ドイツでも米国同様に、利用者が虚偽情報を含む投稿や、本物のニュースサイトであるかのようになりすます偽ニュースサイトを見つけた場合、クリック1つで報告できるようにする。フェイスブック自体は真偽を判断せず、提携する非営利のジャーナリズム団体などの第三者機関に事実確認を委ねる。
虚偽情報と判定されたものは「偽ニュースの疑いあり」との警告を表示するとともに、表示順位も下げる。根拠を説明する記事へのリンクも表示する。利用者が情報を共有しようとする際にも改めて警告し、拡散を防ぐ。いったん警告対象になった情報は広告としての掲載を認めない。
オバマ米政権は昨年の大統領選でロシア政府とつながった組織がサイバー攻撃や情報工作によりネットを使い選挙に介入しようとしたとみている。ロシアには大規模な情報工作部隊があるといわれており、独総選挙でも同様の動きがみられる可能性が高い。警戒感を強めている独メルケル政権は偽ニュース対策を怠った場合に罰金を科す法律の導入も検討している。
スマートフォンの普及により、フェイスブックはニュースの主な流通経路として台頭しており、コンテンツの品質管理について責任を問う声が強まっている。フェイスブックは偽ニュース対策を米国から他地域にも広げることで、信頼の回復を狙う。
フェイスブックはドイツの報道機関や大学とも連携し、偽ニュースを見分ける方法を利用者に教える啓蒙活動にも力を入れていく見通し。偽ニュース問題に取り組む大学や非営利団体の研究を資金面などで支援するほか、偽ニュース問題への理解を促進する公共広告も制作する。