インテリア版インスタ「Tunnel」 家具自慢で人気
IT(情報技術)ベンチャーのTunnel(トンネル、東京・渋谷)のインテリアに特化した画像共有サイト「RoomClip(ルームクリップ)」がファンを増やしている。それぞれが自室の写真を投稿し、他の人のコーディネートを参考にする仕組み。画像にある家具を特定し、インターネット通販で買えるようにするなどサービスの幅を広げつつある。
ルームクリップはスマートフォン(スマホ)アプリなどを通じて無料で使える。利用者が自分の住まいの画像を自由に投稿してほかのユーザーと共有できる。
月間の利用者は2015年12月時点で120万人だったが、現在では220万人とほぼ倍に増えた。
気に入った他人の画像に「いいね」と反応したりコメントしたり、交流サイト(SNS)として使える。フェイスブックのような実名性ではなく、自分でユーザー名を決める。
画像共有ではインスタグラムなども存在感が大きいが、ルームクリップはインテリアに特化しているのが強みだ。
DIYの著書もある愛知県の女性、chikoさんは「ルームクリップでインテリア関連の画像を投稿すると、どこのサイトよりも反響が大きい」と話す。1万5千人以上のフォロワーを持つ東京都のai.さんも「せっかく作った家具などを見てもらえる場所が少ないので助かる」と語る。
利用者は見たい画像を「DIY」や「玄関」といったキーワードや、部屋の間取りや広さなどを指定することで絞り込める。自分と条件の近いユーザーの部屋の画像を探して参考にできる。「家をリフォームする時など、意思決定の場面で役立つプラットフォームになりたい」(同社)
これまでに投稿された画像は190万枚、寄せられた「いいね」の合計は8000万を超えた。投稿されたインテリアの画像や寄せられる反応は、何が実際に消費者に支持されているかを示す貴重な情報になる。
トンネルは昨年末、画像やコメントなどを分析して住まいとインテリアに関する流行を示すキーワードランキング「ルームクリップアワード2016」を発表した。13年から登場するようになった「西海岸インテリア」が1位だった。
どこのメーカーの商品を使ったかを示して画像を投稿する利用者も多い。「自社の商品がどのような単語と一緒に投稿されているか調べてほしいというメーカーもいる」(同社)
ネット通販との連携も進めている。ユーザーが任意でつけた商品名の「タグ」から通販サイトに飛べる仕組みにした。タグ付けされている商品は累計で20万点以上になるという。アマゾン、楽天市場のほか、昨年10月からは「ヤフー!ショッピング」などとも連動。トンネルは通販サイトから販売額に応じた成果報酬を得る。
ホームセンターなどの実店舗とも組む。多くのフォロワーを抱える人気ユーザーに、カインズの店頭ディスプレーの監修を担当してもらった。LIXILビバでは店頭販促(POP)にルームクリップの画像が使われた。「物件の内覧会などで協力すれば、成約率の向上にもつながる」(同社)。異業種との連携の余地は広い。(花田亮輔)
[日経MJ2017年2月1日付]
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