世界石油需要1億バレル超す
22年の日量 OPEC予測
【ドバイ=岐部秀光】石油輸出国機構(OPEC)は7日、中長期的な世界の石油見通しを発表した。消費国が省エネに努力したり、再生エネルギーの利用を増やしたりしているにもかかわらず、2022年の石油需要は16年に比べおよそ日量690万バレル増え、日量1億230万バレルに達すると強気の予想を示した。中国や欧州などで従来予想に比べ高い消費が見込まれるという。
20年に国際海事機関(IMO)による船舶用燃料の環境規制が強まるため、品質の高い燃料の需要が増えると予想する。
一方、長期では40年までに需要は日量1580万バレル伸び、日量1億1110万バレルに達する見込みという。この間、先進国の需要が日量890万バレル減るのに対し、途上国の需要は人口増で日量2380万バレル増えるとみる。
長期予想ではインドのエネルギー需要の伸びが、初めて中国を上回るとの見方も示した。「インドの先行きが明るくなったというより、中国の予測が下方修正されたため」だという。
中国は経済成長が減速している。政府が資源を大量に使う開発主導の経済からの転換も進めている。これに対し、インドの消費は急拡大し、石油需要は40年までに現在の日量440万バレルから倍以上に膨らみ日量1030万バレルに達する見込みだ。
一方、OPECは再生エネルギー技術の発展や電気自動車(EV)の普及を「強力な傾向」と指摘。40年にEVの年間売り上げが8千万台に達し、全体の6割を占めるほど普及が進めば、世界の石油需要は標準シナリオに比べ、日量250万バレル下振れする可能性があると分析した。
さらに「航空機は金属の素材が耐熱樹脂などに切り替えられ、機体がずっと軽くなった」として原油高の時代に始まった省エネの取り組みが成果をもたらしつつあるとの見方を示した。
足元の石油価格は、サウジの王室内部の対立が深刻化する懸念や、イラクのクルド独立問題など、産油国自身の問題で底堅く推移する。しかし、産油国の政治リスクが原因の価格上昇は、中長期的な石油離れを加速しかねない。
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