テロ犠牲者、大半は外国人観光客 NYマラソンは決行
【ニューヨーク=高橋里奈】ニューヨークのマンハッタン南部で10月31日にピックアップトラックが通行人に突っ込んだテロ事件で、犠牲者8人のうち6人が外国人だったことがわかった。ニューヨークのデブラシオ市長は1日、最高度に警備を強化したうえで、5日に予定されるニューヨークシティー・マラソンを決行すると発表した。
事件現場は米同時テロ跡地に近く、世界各国から観光客が訪れる。外国人犠牲者のうちアルゼンチン人の5人は高校卒業30周年を祝う旅行中だった。もう1人の外国人犠牲者はベルギー人で2児の母という。アルゼンチン人グループで死亡を免れた1人も負傷して入院した。ドイツ外務省は1日、12人いる事件の負傷者にドイツ人女性が含まれていると発表した。日本人の犠牲者や負傷者は報告されていない。
米連邦捜査局(FBI)は1日、事件に関連し、ウズベキスタン出身のムハメドゾール・カディロフ氏(32)の情報を集めていると発表した。同氏を容疑者として指名手配していないが、事件について情報を持っているとみて捜索している。
一方、デブラシオ市長は「テロで(5日の)マラソンは止められない」と強調した。ニューヨーク市警幹部は1日の会見で、最大規模の警察官や警察車両を配備し、警備を強化すると表明した。同マラソンは世界中から5万人を超えるランナーが集まる大会で、日本からの参加者も多い。
同市警は1日、ウズベキスタン出身のサイフロ・サイポフ容疑者(29)が過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓い犯行に及んだと明らかにした。犯行は数週間かけて準備され、トラックには「ISは永遠に続く」という意味のアラビア語のメモが残されていた。同容疑者はテロ捜査の対象ではなかったが、捜査対象者と接触していた可能性があるという。
容疑者は10月31日午後2時すぎに隣接する東部ニュージャージー州のホームセンター「ホーム・デポ」でピックアップトラックを借りた後、午後3時すぎにダウンタウンのハドソン川沿いの自転車専用道に高速で突入し通行人らをなぎ倒した。警察に撃たれ拘束された容疑者は入院中で、尋問されている。当局はニュージャージーの関係先も家宅捜索している。