シリア政権軍、アレッポで民間人82人殺害か 国連発表
【ジュネーブ=原克彦】国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は13日、シリア北部の要衝アレッポでアサド政権軍や親アサド派の民兵らが少なくとも82人の民間人を殺害したと発表した。信頼できる複数の目撃者が証言したという。一時は反体制派が支配していたアレッポはロシアを後ろ盾とするアサド政権軍がほぼ全域を制圧、反体制派への報復が広がっている可能性がある。
ゼイド高等弁務官の声明によると、政府軍などはアレッポ東部で民間人の住宅に押し入り、処刑を行った。犠牲者には女性11人と子供13人が含まれる。路上にも遺体が放置され、爆撃などの攻撃を受ける危険性があるため回収できない状況にあるという。
アレッポでは避難を試みた30~50代の男性の多くが行方不明になっているとの報告もある。一部は政府側の勢力に処刑されたか、拉致されたとみられている。ゼイド氏は「アレッポで起きていることはラッカなど他の地域でも起こりうる。このようなことを続けさせてはならない」とし、アサド政権に国際法に従うよう呼びかけた。
ロシアは市民の避難を手助けしているとしている。ただ、戦地には救援物資を届けにくい状態で、残された市民は困窮している。