習近平氏、カンボジア訪問 シハモニ国王らと会談
【ハノイ=富山篤】中国の習近平国家主席は13日、カンボジアの首都プノンペンを訪問し、シハモニ国王、フン・セン首相と会談した。インフラ整備などの支援強化を約束したとみられる。中国の国家主席の訪問は2012年の胡錦濤氏以来4年ぶり。南シナ海問題でフィリピン、ベトナムと対立するなか、東南アジア諸国連合(ASEAN)内の親中国・カンボジアとの結束を強める。
「アジアインフラ投資銀行(AIIB)と一帯一路(新シルクロード)構想を高く評価したい」。フン・セン首相は講演などで中国を評価する発言を繰り返す。自身の交流サイトではベトナムを批判しつつ「南シナ海問題に我が国を巻き込むな」と書き込んでいる。
カンボジア経済は中国に依存している。地元紙、プノンペンポストによると、14年まで20年間の直接投資のうち、中国(台湾含む)が占める比率は44%と最大だ。中国の李克強首相は7月、モンゴルでフン・セン首相と会談し、総額36億元(約555億円)の支援を表明した。カンボジアでは不動産や高級車の宣伝に中国語が併記され、人民元の両替所も目立つ。
中国としてはカンボジア、ラオスといった親中国との結束を強め、ASEANが反中で一枚岩にならないようくさびを打ち込む狙いがある。
カンボジアは18年に5年ぶりの総選挙を控えている。フン・セン首相を巡っては強権政治への批判がくすぶり、野党救国党(CNRP)の人気も高まっている。中国の後ろ盾をアピールすることで、巻き返しを図りたいとの思惑も働いている。