中国へ知財制裁関税、対象最大600億ドルか トランプ政権
電気製品や通信機器、月内にも決断
【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領が検討する中国の知的財産権侵害への制裁措置を巡り、追加関税の対象となる中国製品が最大600億ドル(約6兆4千億円)相当に達する可能性があることが13日分かった。米メディアが同日報じた。トランプ氏は3月中にも制裁発動を決断する方向で、鉄鋼・アルミニウムに続く強硬的な輸入制限に踏み切る可能性がある。
トランプ政権が検討するのは、不公正貿易に大統領権限で制裁措置を課せる通商法301条の発動だ。米通商代表部(USTR)は中国に対し、不法コピー商品の横行などの知財侵害に加え、米企業が中国進出時に技術移転を求められる同国内の投資慣行も問題視している。
トランプ政権は制裁措置として幅広い中国製品の関税引き上げを検討しており、ロイター通信など米メディアは13日、関税総額が300億~600億ドルに達する可能性があると報じた。知財侵害の疑いがある電気製品や通信機器が主な対象となるが、家具など100品目を超す可能性もあるという。
米国の2017年の対中貿易赤字は3750億ドルと前年から8%増えた。追加関税として検討する600億ドルは対中貿易赤字額の16%に相当する。トランプ政権の貿易制限は国内雇用の維持が狙いだが、幅広い中国製品に巨額の関税を課せば、消費者物価の上昇に直結して米景気を下押しするリスクが大きい。
トランプ政権は対中制裁措置として、中国企業の対米投資の制限や、一部の中国関係者のビザ発給停止も検討している。ただ、大統領権限で一方的に貿易制限を課す通商法301条は、世界貿易機関(WTO)ルールに抵触する可能性が高く、米政権が発動を正式に決めれば中国の反発は必至だ。中国が報復措置に出る可能性もあり、大国間の貿易摩擦は世界経済の大きな不安材料となる。