住友林業、70階建て「木造」ビル構想 東京・丸の内での建設を想定
住友林業は8日、2041年までに都内に木材を主部材とした超高層ビルを建設する構想を発表した。建築予定の建物の大きさは高さ350メートル、地上70階建て。一部、鉄骨を含んだ7階建て以上の「木質」建築の施工計画は日本初となる。耐火木材の開発など、同社内で進めていく。木材の活用法を広げ、非住宅事業を強化していく考え。
構想計画「W350」では木造ビルを東京・丸の内に建設することを想定している。延べ床面積45万5000平方メートルで、同社が手がける注文住宅8000棟分にあたる18万5000立方メートルの木材を使用する予定だ。一部耐震補強材などには鉄骨材を活用する。店舗、オフィス、ホテルと住居が同居する店舗併用型住宅にする。総工費は6000億円と試算している。
木で大型建築を建てるためには、耐火部材の開発などが必要になる。芯まで燃え尽きないように、3時間耐火の認定が取れる木質部材の研究を同社内で進める。また、火災時の対策として、高層ビルの外周部には燃えにくい特性を持つサザンカなどの植栽を配置したり、水が流れるような仕組みを作ったりする計画もある。4年後をめどに高さ70メートル、14階建ての木造ビルを建てる施工計画を策定する。
少子高齢化の影響で、国内の新設住宅着工戸数は今後減少していくとみられている。住友林業は17年11月に熊谷組と資本業務提携を結び、木材を使った中・大型建築事業に力を入れる。同社は超高層ビル「台北101」(台湾・台北)の施工実績がある熊谷組と知見を共有し、将来的に海外で大型木造建築を建てることも検討していく。