三菱商事など、インドネシアでLNG増産 資源へ逆張り投資
三菱商事は1日、石油メジャーの英BPなどと手掛けるインドネシアの液化天然ガス(LNG)プロジェクトの生産能力を増強すると発表した。総事業費は8千億~1兆円になるもよう。液化設備を増やし、生産能力を5割増の年1140万トンにする。原油価格の下落に釣られる格好で資機材などのコストが大幅に下がり、採算が取れると判断した。資源安を逆手に逆張りで投資する。
ニューギニア島にあるLNG基地「タングー」の液化設備を2系列から3系列に増やす。新たに運搬船用の桟橋を設け、生産用の井戸を13カ所掘る。生産開始は2020年。75%をインドネシアの国営電力会社、25%を関西電力に販売する。
権益の約37%を持つBPのほか、プロジェクトには国際石油開発帝石(INPEX)や大手商社など日本企業6社が出資し、計約45%の権益を持つ。それぞれが権益に応じた事業費を負担しており、約10%の三菱商事の負担は800億~1千億円とみられる。
原油、LNGの価格が高かった計画段階では総事業費は1兆2千億円とされていた。16年に入って原油価格が急落。「数カ月遅れで資機材なども下がった」(三菱商事)ことから建設業者と費用を再交渉し、設備の調達費も見直してコストを削った。
直近では東京ガスが米国でシェールガスの権益を取得。三井物産もオーストラリアで油田開発を決めた。将来の市況の回復を前提に「安値買い」を狙う動きが相次ぐ。