中ロ首脳が会談「世界経済の試練に対応」 英EU離脱念頭
【北京=永井央紀】中国の習近平国家主席は25日、中国を公式訪問したロシアのプーチン大統領と北京の人民大会堂で会談した。中国国営新華社によると、習氏は英国の欧州連合(EU)離脱を念頭に「世界経済が直面する試練に共同で対応しよう」と呼びかけた。経済協力など30以上の合意文書に署名したほか、南シナ海問題についても協議した。
習氏は会談で「お互いの核心的利益についての支持を強化し、地域の重要課題での協調を強化していこう」とも訴えた。中国が譲歩できない「核心的利益」と位置づけている南シナ海を念頭においた発言で、新華社によるとプーチン氏は「それぞれの核心的利益や重大関心事を相互に支持したい」と応じた。
ロシアのメディアは南シナ海問題が議題になったと伝えたが、プーチン氏が習氏の立場を支持したかは明らかにしていない。中ロ両国が署名した合意文書は貿易やエネルギー、インフラ建設、外交などに関するもの。
両首脳は23日にもウズベキスタンで開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議の場を利用して会談したばかり。3日間に場所を変えて2度会談するのは異例だ。今回の訪中は滞在時間が24時間未満。新華社は「旋風式訪問」と呼び、「両国関係の成熟の表れだ」と強調した。南シナ海問題で国際社会の批判を受ける中国とウクライナ問題で制裁を受けるロシアの協調演出には、孤立を回避したいとの思惑がのぞく。
ただ、両国の経済協力の実態は進展が鈍い。新華社によると15年の中ロ貿易の総額は約680億ドルで前年比28%減った。原油相場の下落が主因だが、2年前のクリミア編入で欧米が制裁を科すロシアへの協力には慎重にならざるを得ないことも影響したもようだ。