「地方創生特区」を創設、自民公約を発表
自民党は25日、12月2日公示―同14日投開票の衆院選で訴える政権公約を公表した。安倍晋三首相が重要視する地方創生は「地方創生特区」を創設し、規制改革を推進すると打ち出した。憲法改正では憲法改正原案の国会提出を明記。首相の経済政策「アベノミクス」を継続・加速し、経済再生を最重要視する内容だ。
公約は「景気回復、この道しかない」をキャッチフレーズに掲げ、「地方に実感が届く景気回復を加速させる」と訴えた。2015年10月に予定していた消費増税の先送りについては「経済の好循環を止めないための決断だ」と説明した。
公約集と位置付ける「政策BANK」は(1)経済再生・財政再建(2)地方創生・女性活躍推進(3)暮らしの安全・安心(4)積極的平和外交(5)政治・行政改革(6)憲法改正――の6項目から構成。約300の個別政策を盛り込んだ。
経済再生では、法人実効税率の引き下げについて「恒久財源を確保した上で数年で20%台まで引き下げる」と明記。17年4月に10%に引き上げる消費税率の負担を低く抑える軽減税率は「17年度からの導入を目指す」との目標を掲げた。原子力政策では安全性確保を前提に原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、推進する方針を示した。
地方創生は地方創生特区の早期の指定に加え、企業の地方移転を後押しするとした。地方公共団体向けの自由度の高い交付金の創設や地域商品券発行を支援する交付金を設ける。女性活躍は、増税先送りで財源がなくなった子ども・子育て支援新制度を「来年4月から着実かつ円滑に実施する」と明記した。
行政改革では、内閣官房と内閣府の業務をスリム化し、各省の縦割りを排するとした。衆院小選挙区の「1票の格差」是正は「(衆院の第三者機関である)選挙制度調査会の答申を尊重する」との表現にとどめた。
外交面では米国などとの関係を一層強化するとしたうえで「中国・韓国・ロシアとの関係を改善する」と強調した。環太平洋経済連携協定(TPP)は「国益にかなう最善の道を追及する」とした。北朝鮮による拉致問題は拉致被害者全員の帰国を目標に掲げ、「拉致問題に進展がない限りさらなる制裁緩和や支援は一切行わない」と強調した。