上海の日本人学校、通学バス禁止で困惑 当局が突然の通告
【上海=菅原透】中国・上海に2校ある日本人学校で27日から通学バスの使用が禁止された。これまでは同じマンションに住む保護者同士でお金を出し合うなどしてバスを手配してきたが、地元当局が「規定に合致していない」として突然、通告してきた。現地駐在員は「タクシー代など新たな費用負担は重い」と困惑している。
通達は23日に出された。日本人学校は26日は臨時休校して保護者説明会を開いたため、27日がバスを使わない初日となった。約1400人の小学生が通う上海日本人学校虹橋校では現地駐在員の社用車やタクシーで通学する生徒の姿が目立った。引率した保護者の一人は「これから毎日、タクシーで送り迎えしなければならない」と話した。
上海には市西部の虹橋地区と市東部の浦東地区に日本人学校があり、小中学生の生徒数は2014年4月時点で合計約2800人。大半の生徒が通学バスを利用していた。27日からは登下校時の保護者の同行が原則必要になり、現地の日系企業が加盟する上海日本商工クラブは26日、「日本人学校に通う子供がいる従業員に勤務時間や業務体制で配慮してほしい」と協力を呼びかけた。
中国当局は事故防止の観点から通学バスに対する指導を強めている。上海市の当局は日本人学校に対しても昨秋から通学バスの管理強化を要請。学校側は今年4月の新学期から学校が手配するスクールバスを導入する準備を進めていた。
突然の方針転換の裏に昨年末に上海市の観光名所、外灘(バンド)で36人が死亡した大規模転倒事故との関連を指摘する声もある。上海市は21日に地元政府トップら11人の処分を発表したばかり。市政府は「公共安全の徹底」を各部局に指示しており、事故発生時の責任の所在を明確にしようと対応を急いだとみられる。