世界経済、3%成長に下方修正 15年の世銀見通し
【ワシントン=矢沢俊樹】世界銀行は13日発表した最新の世界経済見通し(GEP)で、世界の実質国内総生産(GDP)成長率が2014年の2.6%(推定)から15年は3.0%へ緩やかに加速するとの見方を示した。原油安が中国、インドなど石油輸入国の景気に追い風になる一方、低インフレで米連邦準備理事会(FRB)など先進国の中央銀行による金融引き締めの時期が遠のくと分析している。
2015年 | 16年 | |
世界全体 | 3.0 | 3.3 |
米 国 | 3.2 | 3.0 |
ユーロ圏 | 1.1 | 1.6 |
日 本 | 1.2 | 1.6 |
ロ シ ア | ▲2.9 | 0.1 |
東アジア・太平洋全体 | 6.7 | 6.7 |
中 国 | 7.1 | 7.0 |
インドネシア | 5.2 | 5.5 |
タ イ | 3.5 | 4.0 |
ブラジル | 1.0 | 2.5 |
メキシコ | 3.3 | 3.8 |
14年6月の前回見通し時点では15、16両年の世界経済成長率を3.4%、3.3%とみていたがいずれも下方修正した。14年の推計値も2.8%から0.2ポイント引き下げた。世銀は今回、14年も含む成長率を引き下げた背景について「日本や欧州、ロシア、南米などの成長が振るわないことが主因だ」と説明した。15~16年は世界全体でも3%台の伸びを維持するが、原油などの国際商品市況や世界貿易の回復は緩やかになるとみている。
国・地域別でみると、米国の15、16両年のGDP成長率が国内消費の回復に支えられ3%台で底堅く推移する見込み。15年は昨年6月時点の予想(3.0%)からやや上振れしそうだ。
一方、ユーロ圏の成長率は昨年6月予想を大きく下回った。15年は1.1%にとどまった後、16年から景気が上向くとみるが、ギリシャの政情不安再燃に加えて「過度な低インフレが続く恐れがある」と先行きに警戒を強めている。
日本に関しては、消費税率引き上げの影響で14年の成長率が0.2%にとどまった。ただ、15、16両年の見通しは大きくは修正せず、安倍政権が掲げる労働市場などの経済構造改革が「中期的に成長を押し上げる」との期待をにじませた。
中国、タイ、インドネシアなどを含む東アジア・太平洋地域全体でみた15、16両年の成長率は昨年6月予想からは下方修正したが、なお6%台後半の高い伸びが続く。中国とともに原油安の恩恵が大きいとみられるインドは、成長率が16年に7%まで加速するとみている。