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合同説明会を大混乱に陥れた「後ろ倒し」の不安

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 初めての就職活動は分からないことだらけ。直接企業に質問しづらいことも多いし、口コミ情報がどこまで信用できるかも不安だ。そんな悩みを解決する「就活探偵団」。就活生の疑問に答えるべく、あなたに代わって日経記者が企業に突撃取材します。

3月1日の就活解禁からおよそ3週間。就活スケジュールが後ろ倒しになった今シーズン、就活生から聞こえてくるのは「先輩のアドバイスが参考にならない」「自分が出遅れているのでは……」など不安の声だ。解禁以降、就活生と採用担当者がどんな思惑で動いているのかを調査した。

「このままでは事故が起きる」

蓄積された就活生の不安が会場を大混乱に陥れてしまった。

3月1日に東京・渋谷のヒカリエで開かれたアイデム主催の合同就職説明会。1000人を収容する大会場だが、正午の開始前にすでに学生であふれかえっていた。「このままでは事故が起こる」――。危険を感じた施設管理者は主催者に緊急対応策を要求。主催者は入場を制限したうえ、一定時間で強制的に学生の入れ替えを実施した。

説明会を途中で打ち切られ、当惑する企業の採用担当者。入場まで3時間も待たされる学生。「学生がうちのブースに全然来なかった」とクレームをつける中堅企業。主催者はこうしたイベントに豊富なノウハウがあったはずだが、「学生の不安が解禁初日にドバっと出た。企業、学生、施設管理者から怒られてしまった」とうなだれた。就活生の不安の大きさを読み誤ってしまったようだ。

会場を訪れた就活生に話を聞いた。

QUOカード目当ての就活生も

「就活が不安なので今日来ました。確かに先輩は内定をたくさんもらっていましたが、私たちはスケジュールが変わるので同じようにいくのかどうか……。人があまりに多いせいか空気が薄く気分が悪くなりました」(日大3年女性)。

「不安なので来てみました。まだどんな業界が向いているのかもわかりません」(専修大3年男性)。

「大学から、とにかく早く動けといわれているので来てみました」(拓殖大3年生)。

「なんで来たかですか? 4社回ったら計2500円のQUOカードがもらえるって聞いたからですよ。これはおいしいですね」(別の専修大生)

後ろ倒し就活の不安が多くの就活生に足を運ばせた可能性が大きいが、「QUOカード」に釣られてやってきた学生も混乱の一因だったのかもしれない。

法政大の説明会でも「不安」

同じ日に就活探偵は法政大学の学内説明会を訪れた。メガバンクや総合商社など参加企業は23社、出席した学生は1万人超。大学の許可を得たうえで、参加企業と学生を取材した。

売り手市場といわれる今シーズン。しかし、MARCH(明治、青学、立教、中央、法政)クラスの学生でも口をついて出てくるのはスケジュール変更による「不安」だった。

「後ろ倒しで選考期間が短くなることの影響がどうなるか、不安です」(4年生理系)

「昨シーズンまでのスケジュールが単に後ろにずれているのか、もっと変わっているのかがわからないのが不安」(4年生男子)

このような就活生の不安を和らげるような「自社アピール」ができる企業は採用戦線を優位に戦えるだろう。9社の説明会を取材したが、就活生に「ウケて」いた印象があったのが日本生命と損害保険ジャパン日本興亜。

自虐的な日生

日生の説明会。「銀行が第1志望の人は手を挙げてください」と呼びかけると、つられて正直にパラパラと手を挙げる就活生。担当者は「皆さんの多くがメガバンク志向と思います」といったん自虐に走り、「しかし8兆円規模で融資をし、不動産事業も手掛ける。海外展開もひけを取らない!」とボルテージをあげていた。

さらに日生は面倒見の良さを訴える。就活生40人を集めた合宿を4、5回開き、人事部が面接指導するという。就活生と密なコミュニケーションをはかり、「面接指導」目当てに訪れたメガバンク志向の就活生を横取りしようという作戦なのだろう。毎年、人気度では上のメガバンクと新卒学生の奪い合いをしているだけあって、策を練り込んでいる印象を受けた。

損保ジャパンは社風の説明が特徴的。東京海上、三井住友海上、損保ジャパンの3メガ損保の違いを就活生に問われると「○○は本社の人間は頭がいいが現場がお客さんのことを思って対応しているか疑問。あ、これは人から聞いた話です。うちは現場が頭良く、本社の人間はあまり優秀ではない。××はその中間。損保ジャパンは現場を大切にする会社と人からは言われます」。ライバル社が耳にしたら怒りそうだが、それも承知のうえで就活生の心をつかもうとしたのかもしれない。

名刺交換拒否の三菱東京UFJ

別の意味で印象的だったのが、三菱東京UFJ銀行。取材の趣旨を説明するも「ほんの挨拶程度の質問でも答えられない」と名刺交換すら拒否。かなりピリピリしているようだ。説明会で個人情報を集めていないことを示すためだろう、学生との質疑応答では名前、学部を名乗らないよう要請。「リクルーターは一切やっていない」「7月末までは情報提供の期間。選考は8月1日からというルールを必ず守る」と断言していた。

「三菱東京UFJからは昨夏のインターンシップ以降、懇親会の誘いはありますが、リクルーターは絶対につけない、この会合は選考に一切関係ないと繰り返しています。友人の話では三井住友、みずほはインターンをきっかけにリクルーターがついているようですが……」(上位私大3年男性)。説明会では「ほかのメガバンクと比べて海外拠点数が桁違いに多い」「サントリーのM&A支援など大きな仕事ができる」などグローバル規模でのスケールを訴えていた三菱東京UFJ。仮にライバル行が先行しても、格上ゆえの自信があるのだろう。

では、企業の採用担当者は今シーズンの就活生の動きをどう分析し、採用活動に役立てようとしているのか。法政大の説明会参加企業のうち、ソフトバンクと損保ジャパンの採用担当者に話を聞くことができた。採用担当者の間では、両社とも他社と一線を画した採用活動で知られる企業だ。

 ――今シーズンの就活生の特徴は。

損保ジャパンの漆間紀幸・人材開発室採用グループ課長代理 「時期がずれて先輩のアドバイスが得られなくなった影響は大きいようだ。インターン参加も増えているが、意識が高いというより『どう動けばいいかわからない』『もう内定出ている人もいるのに自分は……』という不安の声をよく聞く」

ソフトバンクの仙田厚毅・採用企画部長 「後ろ倒しの影響で早く就活を始める学生、3月の解禁から動き出す学生と両極端になっているイメージがある」

「採用活動は間違いなく長期化する」

――今シーズンの採用スケジュールや採用の工夫は。

損保ジャパン 「8月から選考を始め、8月初旬から中旬には内定を出したいと思っているが、おそらく9月まで続くだろう。内定辞退を避けるために、3月から7月までは説明会を繰り返し開き、ファンになってもらえる努力をやっていくほかない。座談会の頻度を増やし、できるだけ社員と接触できる機会をつくっている」

ソフトバンク 「うちは(経団連指針に縛られない)ユニバーサル採用なので、学生にあわせて内定を出す時期はまちまち。ただ、採用活動は間違いなく長期化します。いままでは学生のエントリーを待つ姿勢だったのですが、今シーズンは『狩猟型』でいく。昨年よりたくさんの大学に出かけて多くの学生に会うようにしている。地方の学生が東京で開く説明会に来られなくても同じ情報が持てるよう、説明会の質疑応答をウェブ上で公開し、情報格差がつかないようにしている」

ソフトバンクの仙田部長が指摘した「二極化」は今シーズンの特徴だ。

「昨年5~6月から夏のインターンの準備を始め、今年の1月から2月にかけて投資銀行の複数の内定をとった」(上位大大学院1年生)とすでに就活を終えた学生も一部にはいる。一方、3月8~9日のマイナビ就職EXPOに参加していた就活生7人に話を聞いたところ、全員が就活を始めたばかりでエントリーゼロの就活生もいた。

「後ろ倒しを真に受けて出だしが遅くなったことを後悔しています。3~6月の選考第1波と、7月以降の第2波があると聞いているので第1波で内定を採りたいです」。2月後半から就活を始めたという中堅私大生は表情に焦りがにじんでいた。

早めに内定を確保しておきたいと考えるのは当然だ。しかし、今シーズンの採用戦線は損保ジャパン、ソフトバンクの両社の担当者が言うように長期化する。10月1日の内定式以降も採用活動を続ける方針という大企業も少なくない。解禁直後の不安や焦りに捕らわれた就活生は自分をいったん冷静に見つめ直し、長期戦を視野に入れることを考えてもいいかもしれない。

(松浦龍夫、岡田真知子、松本千恵)

 次回は4月2日(木)に掲載予定です。
 「お悩み解決!就活探偵団」では読者の皆様からのご意見、ご感想を募集しております。こちらの投稿フォームからお寄せください。就活探偵への就活生からの疑問は日経就職ナビのホームページから受け付けています。これまで寄せられた主な疑問もご覧になれます。
読者からのコメント
60歳代男性
3年の成績確定までくらいは「優」を増やす努力をしてもらいたい。
60歳代男性(電気、電子機器)
実社会と結び付いた学業であれば学業優先が本来の姿。学業の質が問題です。
30歳代女性(卸売・小売業・商社など)
主な企業すべてが守れば学生のためになりますが、ビジネス倫理観のある経営者は少ないから無理でしょう。
40歳代男性(その他製造)
そもそも新卒一括採用をやめた方がいいと思っています。いい人がいればいつでも採るようにすればいい。
30歳代女性(情報処理、SI、ソフトウェア)
卒研に集中したい時期と丸かぶりなので、逆に可哀想。
50歳代男性(公務員)
海外に留学している就活学年の学生にとってはありがたい話だ。
50歳代女性(機械、重電)
娘が就活生です。「勉学のために」後ろ倒しになったはずなのに、研究室での研究は殆ど実施できていない様子。企業側にしても、3カ月では何もできないのでは。この学生たちが入社してくる再来年が怖いです。
20歳代以下女性
今は混乱しているかもしれないけど、そのうち本来の狙いを達成できるはずです。
40歳代男性(情報処理、SI、ソフトウェア)
実質就職活動期間が長くなっている。
60歳代男性(教育・教育学習支援関係)
何時迄も護送船団方式をやっているのが間違い。優秀な学生はグローバルスタンダードで通年採用されるし、給与水準もシリコンバレーに右へ倣えになっているのに。
50歳代女性(公務員)
暫くは混乱が続くと思いますが、自分が就活の時は4年生に入ってからでした。だいぶ前の事ですが… 企業だけでなく大学もカリキュラム編成が必要だと思います。
50歳代男性(不動産)
紳士協定が殆ど守られていない。 実質、大学主催(表向きは大学OB会主催)の就職説明会が解禁前から横行している。
50歳代男性(金融・証券・保険)
早くからの就職活動があると、大学には就職活動のために入学したものになる。遅くからの解禁でよいと思う。
60歳代男性(食品、医薬、化粧品)
何しに行くのか自分で判断し、行動すればいい。
50歳代女性
インターシップを積極的に行うなどメリットとして活用できている学生が増えれば今後、いい結果を生むことにもつながるのではないか。
70歳代以上男性
留年を厳しく対応する必要があり。
30歳代男性(教育・教育学習支援関係)
短期決戦になるので大変な印象。まあ、自分みたいに就活に失敗(ブラック企業に入って体を壊して数カ月で退職)した人間がとやかく言えませんが。
40歳代男性(電気、電子機器)
いいえ、まったく意味がないですね。学生からすると早く決まる方が落ち着いて学問に取り組めるはず。
30歳代女性
変更後数年は学生は苦しむかと思います…でも先々では学生が勉学を優先しもっと優秀なカリキュラムを身につけるチャンスになると思います。大学に属してただ働き先を探すだけの日々はもったいないです!
50歳代男性(食品、医薬、化粧品)
9月入学にして 卒業後に就活するようにすべきでしょう。
60歳代男性
就活解禁までの期間を勉学に充てようなどと考えている学生がどの程度いるのかを把握すべきと思います。
20歳代以下女性
現在就活生ですが、留学中なので大変ありがたいです。 先輩の中では就活が心配で留学を断念する人もいたようなので、留学を後押しすることにも繋がると思う。
20歳代以下男性(金融・証券・保険)
学業が就活の結果に直結するわけでもなく、後ろ倒すことが学業に専念する本質的な解決策であると思わない。
50歳代男性(金融・証券・保険)
但し、説明会等の解禁時期をせめて5~6月にしないと就活期間が長くなり、効果は半減。34年前は4年生の8月に活動を開始して10月初に内定で実質2か月の就活だった。院2年の息子も実験に集中できない様子。
40歳代男性(金融・証券・保険)
学業優先といいながら、本当の学業を大学ができているとは思えない。
40歳代男性(建設)
学業に執心する学生は、昔からほんの一握り。「大学全入時代」になって、学業に取り組む学生はさらに低比率になったのではないか。
30歳代女性(放送・広告・出版・マスコミ)
就職率がいいことも相俟って、もっと真剣に考えないとミスマッチが増えるのではないかと懸念しています。
70歳代以上男性
4年生の夏まではしっかり勉強し、秋から就活が開始されるべき。
20歳代以下女性
転換期なので混乱があるのは仕方ありませんが、就活の長期化を食い止めることができるという点でも、4回生春から始まることは妥当だと思います。
70歳代以上女性
大学教員が自分の講義を欠席する理由として「就活」としていたことから、怒りが上がっての後ろ倒しだと思うが、学生が就職出来なくて困るのも教員なので、大学教員の責任は重い。前に戻すべき。
60歳代女性(教育・教育学習支援関係)
理系では、例年早い時期に就職を決めてから卒研に身を入れる学生が多かったが、今年は4年生前半は研究が手につかず、就職は決まっても卒業研究が始められるのはいったいいつになるのかと指導教員も危惧している。
20歳代以下男性(その他)
今の大学生の殆どは学業や研究のためではなく就職したいがために通っている。本当に学業優先なら就活は大学卒業後にして、採用する企業側も大卒の要件を撤廃すべき。
60歳代男性(卸売・小売業・商社など)
現在の新卒一斉採用制度がそもそも時代にそぐわない。一刻も早く通年採用とすべき。また、それと共に伝統の年功序列、終身(?)雇用制度も労働者の流動化策と共に廃止すべき。
50歳代男性(その他製造)
圧倒的に数的に大きい就業先に対して、平日に限れば過少な期間で学生個人の努力や学生を支援する現行のしくみだけでは職業選択の機会を大きく毀損してしまう恐れの方が大きい。結果としてミスマッチなどロスとなる。
40歳代男性(卸売・小売業・商社など)
後ろ倒しに従う企業と従わない企業がいて、それに表向きはそうだとか何だとか、学生を混乱させるだけ。横並びにする必要など無いと思う
30歳代男性(素材)
後ろ倒しは学業にも就活にもマイナスだと思う。就職先が早く決まらないことには、学生は不安で学業に専念できない。後ろ倒しは学業優先を返って妨げていないだろうか。
40歳代男性(金融・証券・保険)
文系は4年生の学業負荷が少ないから就活に集中できるが、理系4年生は卒業研究でかなり忙しいから3年次に就職先決められたほうが良いかも。
60歳代男性(エネルギー)
僕らの解禁日は4年の9月でした。それでも大半は希望の会社へ!それからすると会社も学生も就職というモノの考えを今一度考え直す時期だと思う。

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