原発事故の避難勧奨地点、賠償の和解案 東電1月に回答
東京電力福島第1原子力発電所事故で放射線量が局地的に高い「特定避難勧奨地点」に指定された福島県南相馬市の住民らが、土地や建物の賠償を東電に求めていた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、原子力損害賠償紛争解決センターは26日までに、不動産の賠償などを認める和解案を提示した。
住民側弁護団によると、不動産の賠償や精神的慰謝料を認定し賠償総額は約4億3千万円。特定避難勧奨地点の不動産賠償は、原子力損害賠償紛争審査会が定めた賠償指針に含まれておらず、弁護団は記者会見で「避難区域外で認められたのは画期的だ」と評価した。
和解案は19日付。住民は受諾の意向を示し、東電は来年1月9日までに受諾の可否を回答する。
特定避難勧奨地点は避難指示区域外で、年間被曝(ひばく)線量が20ミリシーベルトを超えると推定される場所。現在は南相馬市にだけ残っているが、国は今月28日の解除を決めている。
ADRを申し立てたのは特定避難勧奨地点の10世帯52人と、近くに住む1世帯9人。約13億9千万円を請求していた。〔共同〕