名張毒ぶどう酒事件、再審開始認めず 名古屋高裁
第8次再審請求
三重県名張市で1961年、女性5人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」で、名古屋高裁(木口信之裁判長)は9日、奥西勝死刑囚(88)の8度目の再審請求を棄却、裁判のやり直しを認めない決定をした。弁護側は決定を不服として、最高裁に特別抗告するとみられる。審理は最高裁で続く見通しだ。
7度目の再審請求の2005年、奥西死刑囚は再審開始が認められた。その後、取り消されており、最高裁で退けられていた。
奥西死刑囚側は13年11月、第8次再審請求した。毒物とされた農薬をめぐる専門家の意見書を証拠として提出。弁護側は「自白で供述した農薬と混入していた毒物は別物の可能性がある」と主張した。
これに対し、昨年5月の名古屋高裁の別の裁判部は、弁護側の証拠について「第7次請求と同じ証拠に基づく同じ主張」として、新証拠にあたらないと判断。再審請求を退けていた。弁護団は決定を不服として、異議を申し立てていた。
一審・津地裁は奥西死刑囚を無罪、二審・名古屋高裁は逆転死刑判決を言い渡し、72年に最高裁で死刑が確定した。