原発で3課題を優先検討 経産省、廃炉・自由化・使用済み燃料
経済産業省は11日、原子力政策の見直しについて、廃炉と電力自由化、使用済み核燃料の処分の3つを優先課題として検討する方針を決めた。いずれも制度変更などにより対応の期限が迫っているためだ。九州電力川内原発(鹿児島県)の安全審査が大詰めを迎えたため、再稼働に向けた環境を整備する狙いもある。
経産省は11日に開かれた有識者会議で3つの優先課題を示し、大筋で了承を得た。2014年度中に対応策を固める。
まず廃炉は、昨年7月に施行された新たな規制により、原発の運転期間が原則40年に制限された。特に古い原発7基を動かすには、電力会社は来年7月までに原子力規制委員会に届け出なければならない。規制委による審査への合格は新しい原発よりも厳しい。古い原発への安全投資は巨額となるため、今後、廃炉が急増する可能性がある。
経産省は廃炉を担う人材や技術を確保する手段を詰める。東京電力福島第1原発事故後、原子力を学び、仕事としようとする学生は減っている。専門家が枯渇すれば廃炉を進められなくなる恐れもあるため、研究機関への国の支援を手厚くすることなどを検討する。
2番目は16年に電力小売りが全面自由化した後の対応だ。新規参入組との競争が激しくなると、電力会社が事故の損害賠償に備える保険料を負担できなくなる恐れがある。各社は原子力損害賠償支援機構に年数十億~数百億円をおさめ、福島事故による賠償を支えている。経産省は各社が競争しながら保険料を負担できる仕組みを検討する。
3番目は使用済み核燃料の貯蔵問題だ。九電玄海原発(佐賀県)などは再稼働すれば3年で燃料をためて冷やすプールがいっぱいになる。経産省は陸上に空冷できる建屋を設け、貯蔵容量を増やす方針だ。地元からは反発も予想されるため、経産省は自治体向けの交付金拡充などを検討する。
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