「宝の山」顧客情報が標的に ベネッセ情報漏洩
ベネッセホールディングス(HD)が9日、最大で約2070万件にのぼる顧客情報が漏洩した可能性があると発表した。同日の記者会見で原田泳幸会長兼社長は「ブランドイメージへの影響は計り知れない」と語った。日本マクドナルドHDなどの社長を務めた経営手腕を買われ、6月にベネッセHDのトップに就いた原田氏は就任早々、大きな壁にぶつかった。
ベネッセは各地の商業施設などでワークショップを頻繁に開いている。そこで入手した個人情報をもとに各家庭にダイレクトメールを発送し、興味を抱いた家庭を会員にしていくというビジネスモデルを構築してきた。
顧客情報の流出では2013年、ヤフーが最大2200万件のユーザーIDが流出した可能性があると発表している。今回の情報漏洩はそれに次ぐ規模。「まるで宝の山」と同業他社がうらやむ顧客情報が漏れた。
ベネッセは当面、社内で管理するデータベースの稼働を凍結、新規会員獲得のためのコマーシャルも自粛する。
同日の記者会見で原田社長は「肝心な情報は漏洩していないため金銭的な補償は考えていない」とした。しかし04年、ソフトバンクグループで情報漏洩が起きた際、同社は1人当たり500円を補償している。ベネッセの14年3月期の営業利益は350億円。2070万件の個人情報の漏洩に対して補償するとなれば業績への影響は大きい。
2年連続で会員数が減少している主力の「進研ゼミ」立て直しに向け、「プロ経営者」としてベネッセに招かれた原田氏。情報漏洩問題の解決が最初の大仕事となった。
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