中間貯蔵、地権者への説明終了 反発強く交渉は難航へ
東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設を巡り、政府は12日、福島県いわき市で用地の地権者に対する説明会を開いた。この日で全12回の日程は終了。今後は建設予定地の大熊、双葉両町の了解を得て個別の交渉に入る方針だが、土地の評価額などに対する地権者の反発は強く、難航は避けられない見通しだ。
環境省によると、9月29日からの説明会には延べ約900人が出席した。同省は約2300人の地権者を特定し、住所の分かる約1200人に開催を通知。複数回参加も含め、通知を受けた人の4割程度が出席したとみている。
地権者の不満は土地の評価額に集中している。同省は「住宅地で原発事故がなかった場合の5割、山林で同7割」との標準価格を示したが、「少なすぎて自立は無理」(双葉町の男性)、「土地が高騰しているいわき市で以前と同じ広さの家は買えない」(同市に避難する大熊町の女性)など反発する声が噴出した。
同省は「県予算による補填も合わせると10割になる」と説明したが「評価額を5割としたこと自体への反発が非常に強い」(担当者)。一方で「施設の必要性は分かる。国が一方的な姿勢を改め、誠意を示せば交渉に応じる」(大熊町の男性)との声もあった。
政府は共有地などの地権者の確定作業を続けており、人数はさらに増えるもよう。説明会に参加しなかった人には電話や県内の相談室で個別に対応する。今後の進め方は大熊、双葉両町と協議し、了解を得て個々の地権者との交渉に入る。