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溶け落ちた燃料映せ 廃炉調査ロボ、福島第1内部へ

直径10cmのパイプ進入

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 福島第1原子力発電所では汚染水トラブルが相次ぐ一方で、核燃料を取り出して更地に戻す廃炉の準備作業が少しずつ進んでいる。来年3月には原子炉を覆う格納容器の中に初めてロボットを入れ、遠隔操作で走らせる。30~40年かかるとみられる難作業を進めるのは大手メーカーや地元の中小企業、政府系機関がタッグを組んだ最先端技術だ。

棒状ロボがコの字型に変形 日立など開発

直径10センチのパイプの中を、長さ60センチのロボットがモグラのように無限軌道でぐんぐん進んでいく。パイプを抜けるとコの字型に変形して、床の上を這い回り始めた。日立製作所の日立研究所(茨城県日立市)で技術者たちが格納容器に入れるロボットの調整を繰り返していた。

関節は3つのみ。有線で操作する。原発の心臓部という厳しい環境下で故障しないようにしたらシンプルな構造になった。廃炉の技術開発を統括する国際廃炉研究開発機構(IRID=アイリッド)の吉野伸・開発企画室副部長は「故障しにくい機構を考え出すのに苦労した」と話す。高い放射線量を克服するため「カメラのCCD(電荷結合素子)だけを積んで遮蔽し、画像情報は外部に電送するようにした」(日立GEニュークリア・エナジー)。

溶け落ちた燃料(デブリ)は格納容器の底に達し、ジルコニウム合金製の被覆管やコンクリート、海水などと混ざって溶岩のように固まっているとみられる。取り出す計画を練るには、形状などの把握が不可欠だ。

格納容器の中は真っ暗で、もやがかかったような状態になっている。これまで首振り機構がついたカメラなどを格納容器に差し込んで観察しようとしたが撮影できた範囲は限られた。ロボットの投入で「初めてデブリを見ることができるかもしれない」と東京大学の浅間一教授は期待する。

東芝はサソリ型、原子炉の真下近くまで接近

東芝は2号機の格納容器に入れるロボットを開発した。2015年度の上期中に導入して原子炉(圧力容器)の真下の近くにまで接近させる。高さ7センチで全長は20センチ。中に入ると後部のカメラとライトがサソリの尻尾のように持ち上がり、前後左右に動いて撮像する構造だ。放射線量計と温度計も組み込んである。

まず、直径10センチの鋼製パイプを格納容器の貫通部に突き刺して先端を上下に開く。その中を走らせて送り込む独自のアイデアを取り入れた。重心を下げるなど倒れにくい構造にしたが、動かなくなる場合に備えて有線ケーブルを切断する機能も盛り込んでいる。

東京電力やIRIDなどは廃炉に向け、調査・探索のほか、がれきの撤去や除染にこれまでに30種類強のロボットを投入した。だが、核心ともいえる格納容器に入るのはこの2台が初めてだ。

米スリーマイル島の事故は燃料が原子炉内部にとどまった。ウクライナのチェルノブイリでは溶け落ちた燃料の取り出しは難しいと見て全体を固める石棺工法を進めている。格納容器内の下部にまで燃料が溶け出している福島第1原発での取り組みは両者とは比較にならないほど困難だ。廃炉に向けたロボット開発は災害対応や介護・医療、製造業など幅広い分野の技術開発の先駆けになる。

建屋内、国産ロボが活躍

事故の直後は、掃除ロボット「ルンバ」で知られる米iRobot(アイロボット)社の軍事用など世界中からロボットを集めたが、現在活躍しているのは国産が中心だ。千葉工業大学や東北大学などが開発した「クインス」は6個の無限軌道を生かし、初めて最上階にたどりついたことで知られる。トピー工業や日立製作所グループのロボットも無限軌道で建屋の内部に進んだ。

東芝は障害物を乗り越えやすくした4足歩行ロボットを半年で作り上げた。ホンダの「ASIMO」(アシモ)の技術を応用した高所調査ロボも働いた。冠水した地下の調査・探索もしている。日立グループは水中遊泳ロボと水底走行ロボ2台を連携させて探索する技術を開発し、2号機で実証実験した。

建屋内は放射線の影響などで無線の到達距離が限られるので、有線操作を軸に無線の子機を組み合わせるといった多様な遠隔操作を模索している。

福島第1原発は古くて設計図などを入手しにくいうえ「配管などが何カ所も図面と異なっているのが大きな障壁」と東大の浅間教授は訴える。進むのでさえ困難な中、ロボットは内部を撮像したほか放射線の強度を画像化し、超音波などで水漏れ箇所も探索した。

さらにミリ単位で計測できる3D(3次元)レーザースキャン装置を使い、1階や地下の様子を立体的に把握した。1、3号機の水漏れ箇所の一部も確認するなど「内部の状況がだいぶわかってきた」(IRIDの吉野副部長)という。

(佐藤敦、多部田俊輔、比奈田悠佑)

[日経産業新聞2014年12月24日付]

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