15万円で1カ月英語漬け 欧米の半額、激安セブ島留学
日経トレンディ
オンライン英会話スクールを裏で支えるフィリピンは、激安の語学留学先としても脚光を浴びている。大半のスクールはリゾート地のセブ島にあり、留学費用は3食付きの寮に滞在して1カ月で15万円(税込み)前後と、欧米に比べると半額以下で済む。しかもグループレッスンが中心の欧米に対し、フィリピンはマンツーマンが基本。1日約7~10時間の超濃密レッスンで、たった2週間留学すれば、日本で月4回英会話スクールに通う人の、実に2年分以上の勉強量を稼げる計算だ。
日本からの留学生は2011年に1万人程度だったが、2014年は3万人を突破する見込み。「休暇を使って1~2週間の超短期留学をするビジネスパーソンのほか、海外移住を計画している中高年層の留学も増えている」(フィリピン留学普及協会の峰村篤氏)という。
もともとフィリピンの留学事業に目を付けたのは韓国だったため、200校以上ある留学先の大半は"韓流スクール"だ。しかし、オンライン英会話スクールも運営するQQイングリッシュが2009年にセブ島に進出して以降、同じくオンライン英会話のラングリッチなど日系スクールは20校以上に拡大。「平日の外出禁止」といった厳しい規則がある"スパルタ式"コースが主流の韓流スクールに対し、夜間に自由時間を設けたり、宿泊先をホテルにグレードアップしたり、差別化を図っている。
例えばQQのスクールは、セキュリティーゲートで仕切られたセブ市内のITパークにある。「治安が良いため、日中8時限のレッスンを受けた後や週末は、気軽に街に出て"実戦"で英語力を試せる」(QQイングリッシュ理事長の藤岡頼光氏)という。ロシアなどからも留学生を受け入れているため、日系スクールの割に日本人の比率が5割程度と低めなのも特徴だ。
ただ、日系スクールといえど、フィリピンの政府機関TESDAに正式登録がなく、特別就学許可証のSSPを合法的に発給できないケースもある。これは韓流スクールでも同じだが、「非登録校では強制送還や数万円の罰金が科されるリスクがある」(藤岡氏)という。QQやラングリッチはTESDAに登録しており、韓流スクールでも老舗のCPILS(現在は日韓合同資本)といった大手なら安心だろう。
(日経トレンディ 勝俣哲生)
[日経トレンディ 2014年11月号の記事を基に再構成]