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建築も断捨離 「超エコ住宅」エアロハウスに熱視線

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2002年頃からメディアで取り上げられ始めた「エアロハウス」。ロングライフで廃棄物を出さない考えのこの建物が、再び話題を集めている。

2011年7月には宮城県石巻市街のある避難所に仮設住宅として届けられ、10月に開催された「CEATEC JAPAN 2011」では、スマートコミュニティ イノベーション 2011の「ミライニホンプロジェクト」住宅モデルとして登場。日産のEV「リーフ」搭載の電池を使い、住宅に電源供給を受けるというデモンストレーションは多くの人の目に留まった。

東日本大震災以降、住宅についてはあらゆる面から見直しが迫られている。耐震対策は十分なのか、万が一壊れてしまった時に、どうしたら廃棄物にならずに済むのか。この状況下、エアロハウスへの期待が高まっているとも言える。

移動できる頑丈な箱型の家、エアロハウス

そもそもエアロハウスとは何か。

エアロハウスを扱うソーラーデザイン研究所のホームページには「建築家の提案する規格住宅。住み手と建築家がコラボでつくる建築作品」とある。つまり、建築家によるモダンなデザインに、一般木造住宅以上の耐震性、断熱性、耐久性、気密性の性能を備えた、不整地や傾斜地での建設にも対応できる建物だ。

もっと簡単に説明するなら、移動できる箱型の家。軽くて頑丈な木造のボックス(=ユニット)を、基礎や柱脚の形式を変えることで、さまざまな環境に対応させられる。例えば、傾斜地に建てる場合は高い柱脚と低い柱脚を組み合わせればいいし、低い位置に家を建てたいのであれば柱脚を低くすればいい。

ボックスそのものは、同一木材で4辺を強固につないだフレームを45cm~100cmの間隔で並べることで、居住空間を作る。木材の表面は構造用合板で覆い固めたセミモノコックボックス構造。ボックスの幅は6mとなっているが、長さは施主が決められる。

この木造ユニットは4tトレーラーに載せて運べる6m×3mサイズが基本。これを増設・移設し、それぞれのライフスタイルや用途に合わせた間取りや広さにする。ワイドスパンの構造で、スケルトンインフィル住宅となる(スケルトン=壁など建築の骨格の部分/インフィル=建築の一部ではありながら後から組み替え可能な部分)このスケルトンインフィルは平面の間取りの変更だけでなく、2階、3階の床を増設したりはずしたりも可能な「フロアマウント工法」を採用している。

箱型になっていると、衝撃による耐久性を心配するかもしれないが、それはもちろん幾多の実験で実証済み。輸送にも耐えうる強固さだ。また頑丈であるがゆえに、基礎を最小限にすることも可能にしている。造成なしで、耐震性を持った建物ができるので、不整地や傾斜地でも、大幅に土地をならす必要がなく、造成費の削減につながる。

とはいえこれは、コストを下げるべく、許可されるぎりぎりの構造設計や材料選択をしてできたローコスト住宅とはまったく異なる。構造材はむしろ一般住宅では使われない大きなサイズのものを使用している。つまり単価は割高。それでも50万円/坪くらいの事例もあり、平坦な土地でエアロハウスの標準基礎工事、建て方で対応できる敷地の設定においては、22.5坪で予定工事価格850万円のエアロハウスもあるという(設備、内装以外はすべて含む)。

竣工=完成ではなくライフスタイルの変化に対応

一般住木造住宅の概念を覆すような大胆な構造のエアロハウスを設計したのは、ソーラーデザイン研究所代表で建築家の村井正氏だ。

長年デザインコンサルタントとして鳥取環境大学、資生堂掛川工場等、多くの大規模プロジェクトを手がけてきた村井氏は、以前から住宅を手がけたいと思っていた。同時に環境負荷を与えない建築、大地を傷つけない建築を追究し、やがて現代の日本では、住宅が27年~33年で壊されてしまうということを知った。これは建築材の耐久性の問題からではなく、ライフスタイルの変化が原因であることがほとんど。例えば家族6人で暮らしているときには広いほうが使い勝手がいい。しかし子供が独立し、やがて1人暮らしになれば、広さは負担になる。実際に広い家を手放し、マンション暮らしをするようになった高齢者も少なくない。

手放された家は、たいてい解体の憂き目を見る。しかも一般木造住宅の場合、基礎をコンクリートで固めているため解体作業に手間も費用も掛かる。「重機を使った場合でも、解体費用に1平米あたり1万5000円かかることもある」(村井氏)。もし、木材を再利用するために解体を手仕事にすると、費用はさらに跳ね上がる。結局、予算からすると解体して廃材にするしかなくなるケースがほとんどだ。

だから、住まいは竣工=完成ではなく、人や物などのライフスタイルの変化に応じ、リフォームも増設も移設までも可能な「廃棄させない」建物を作りたいと考えた。そのために、建築をプロダクト化し、移動可能にできないかと考えた。

移動可能な家は、20世紀半ばにバックミンスター・フラーが発表したダイマクション・ハウスなど、昔からあった発想ではある。しかしこうした建築物は、プロダクトとしては残っていない。その要因を、村井氏は素材にあるのではないかと考えた。ジェラルミンなりアルミなりの建物は、丈夫だが人が住み続けたい家ではなかったのではないか。そこで村井氏は、木を選んだ。

構造設計は困難を極めたが、英国人設計家アラン・バーデン氏と組み、頑丈な木の構造に守られるセミモノコックボックス構造を完成させた。

もちろん素材選びにも余念がない。当初、シンプルに間伐材や地場材の活用を考えたが、結果的に柱には現在使用している集成材(ひき板や小角材等を材料として繊維方向を平行にそろえ、厚さ、幅及び長さの方向に集成接着をした木材:日本集成材工業協同組合より)を採用。北海道産か青森産、岩手産のカラマツを使うが、価格が折り合わない場合などは、フィンランド産の欧州アカマツを使う。

面材には構造用合板を使用。見かけは"ベニヤ板"。構造を露出するので、アレルギーの心配もあったが、今現在、そうした反応は出ていないそうだ。ちなみに初期には、いわゆるむき出しの木に、「まだ作っている途中ですよね」と聞くクライアントもいたそうだが、今ではこのむき出し感が、かえって人気という。

ベニヤ板などと言ってしまうと防寒対策が気になる。エアロハウスは、床壁天井を完全に断熱材で包み、空気を循環させるシステム「外断熱通気工法」によって寒冷地でも高い保温性を実現している。

そして、こだわりぬいたこの構造は、かなり自由度が高い。何しろ柱がない。ボルトで何かを差し込んだり、穴を開けたりして棚を作ったりしても問題ない。ブランコやハンモックも簡単に取り付けられる。どういう間仕切りにするかは施主の自由だ。

もちろん、解体する時が来たとしても、木そのものを壊す必要はない。基礎がシンプルにできているから、ユニットを外せば再利用できる。移設を想定しているのであれば、あらかじめ移設向けの設計をする必要はあるものの「60年使うと考えて、1、2回の移動は現実的に視野に入れられる」という。街中から、地方へと家ごと引っ越すことも可能ということだ。

ライフスタイルの変化に伴い、自分の"住まい"を変えられる。これこそが本当の家の性能、生きている家の性能だと村井氏は考えている。

ライフスタイル同様、住宅の断捨離へ

それからもう1つ、エアロハウスは今後、人の自由度を上げること、エコであること以外に、シンプルにすっきり暮らすためのマイクロハウス(コンパクトハウス)になると考えられる。

村井氏は現在、世界規模で、マイクロユニット、マイクロハウスという潮流があるという。つまり、小さい家に住むということだ。車同様にダウンサイジングの傾向が、住宅にも表れてきている。

ここにはリーマンショック以降の経済不況も関連している。米国では「タイニーハウス」、すなわち超小型住宅が人気だ。例えば、間取りは小さなキッチンと洋室(寝室)だけ。家が小さい分、光熱費も減るし、物を増やせないので、シンプルライフを送れる。

マイクロハウスやタイニーハウスは、日本でも、昨年末から話題の「断捨離」に通じるものがある。村井氏は「人は5坪の家でも過ごしていける」とまで話す。実際に、エアロハウスの施主の中には、バスルームはつけなくていいという人もいるそうだ。地方ならば、車でちょっといけばスーパー銭湯がある時代。自分の持ち物は最低限で、1つ買ったら1つ手放す。ライフスタイル同様、住宅の断捨離は、これからのトレンドになるかもしれない。

(日経トレンディネット 山田真弓)

[日経トレンディネット2011年11月7日掲載]

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