御嶽山噴火、27人けが 重傷・意識不明者も
長野県と岐阜県にまたがる御嶽山(おんたけさん、3067メートル)で27日正午前に起きた噴火で、長野県の木曽広域消防本部は同日夜、登山者27人がけがをし、このうち10人が重傷を負ったと発表した。意識不明の人もいるという。約230人が下山する一方、山頂付近などに複数の登山者が取り残されており、安倍晋三首相は陸上自衛隊の派遣を指示、28日早朝から救助活動を始める。
気象庁は「今後も噴火の可能性がある」と警戒を呼びかけている。御嶽山の噴火は2007年3月以来。
政府は27日午後、首相官邸の危機管理センターに官邸連絡室を設置。関係省庁災害対策会議を開き、内閣府職員3人を現地に派遣することを決めた。
国土交通省中部地方整備局は、南側斜面を噴煙が3キロ以上にわたって流れる様子を観測、噴煙が上がる火口3カ所を確認した。その後も噴煙は上がり続けているとみられ、気象庁によると、噴煙が火口から高さ3千メートルに達していた場合、長野、岐阜、山梨、静岡各県の一部に火山灰が降る恐れがある。甲府市では27日夕に降灰があった。
気象庁は今後も同規模の噴火が起こる可能性があり「山頂火口から4キロ程度の範囲では、噴火に伴う大きな噴石の飛散などの危険がある」としている。
同庁によると、今月上旬から山頂付近で微動地震を300回以上観測していたが、山の地殻変動や傾斜データに変動が見られず、噴火警戒レベルを1(平常)にとどめた。
噴火後にレベルを5段階のうち3(入山規制)に引き上げたが、同庁の北川貞之・火山課長は27日の記者会見で「事前に情報を発表できなかったという意味で予知ができなかった」と話した。御嶽山でのレベル3の発表は、08年3月31日に警戒レベルの運用を開始して以来初めて。
同庁の火山噴火予知連絡会は28日、今後の火山活動の分析に向けた会議を開く。御嶽山は1979年、水蒸気爆発を起こして火山灰などを噴出、91年には小規模噴火があったほか、07年にもごく小規模な噴火が発生している。