GE・日立連合、原子力燃料でロシア企業と提携 米で加圧水型向け
米ゼネラル・エレクトリック(GE)と日立製作所が合弁で設立した原子力発電所向け燃料事業会社は24日、ロシアの原子力企業ロスアトムの燃料子会社と米国事業で戦略提携すると発表した。ロシア社から技術を得て、2つある原発のタイプ両方に燃料を供給できる体制を構築。原発を取り巻く環境が厳しくなる中で収益基盤を強化する。
GEと日立の合弁会社である米グローバル・ニュークリア・フュエル(GNF)が、ロスアトム傘下のTVELフュエルと提携する。GNFは東京電力福島第1原子力発電所と同じ「沸騰水型軽水炉(BWR)」向けに燃料を加工し、GEや日立が建設した原発に供給している。TVELの「加圧水型軽水炉(PWR)」原発向け燃料のノウハウを得て、米ノースカロライナ州の工場でPWR用燃料を製造する。
米国で稼働している原発約100基のうち、BWRの比率は4割弱ある。米国の原子力規制当局の認可などを得て、PWRを運営する発電会社への受注活動を始める。6~8年後の受注をめざす。将来は合弁会社を新設することも視野に入れているもようだ。
ロスアトムはイランなどでの原発建設も計画しているほか、日本での原子力向け燃料市場への参入を検討したこともある。今回の提携によって米国に足場を作るとともに、GE・日立との連携を軸に世界で原子力ビジネスを拡大する。
原子力ビジネスは原子力発電所の建設と、発電所に燃料を供給する燃料事業の両輪がある。GNFは2000年にGEと日立、東芝が設立し、現在は議決権ベースでGEが68%、日立が32%出資している。GEと日立は07年に原子力事業も統合した。
東芝は06年に米ウエスチングハウス(WH)を買収し、世界ではWHが主体となり燃料を供給。国内ではWH子会社の原子燃料工業が手掛けている。三菱重工業は仏アレバと組み、燃料は世界ではアレバ、国内では三菱原子燃料がそれぞれ供給している。
東日本大震災による福島第1原発の事故で、日本国内の原発は稼働を停止した。再稼働も少なく、燃料ビジネスも限定的になっている。海外も中国を除いて、原発建設は進んでおらず、原発ビジネスは低調。日米ロの企業が手を結ぶことで、中国なども巻き込んだ国際再編が加速する可能性もありそうだ。