報酬は3年経験の日本人と同等に 建設業の外国人活用
2020年度までの時限措置として建設分野の技能実習修了者を活用する、外国人建設就労者受け入れ事業の詳細が明らかになった。技能実習修了後に日本国内で建設業務に携わる外国人(外国人建設就労者)の報酬額を3年間の実務経験を持つ日本人技能者と同等以上にするほか、従事できる業務を技能実習を修了した職種や作業に限定する。
国土交通省は、2014年8月13日に告示した内容を具体的に示したガイドライン案を作成。同年9月11日に公表し、24日まで一般からの意見を募集した。今後は、寄せられた意見を踏まえて中身を詰め、2015年1月1日からの告示の一部施行を目指す。
外国人建設就労者受け入れ事業は、2020年の東京五輪に向けた建設需要の増加に対応するための緊急措置で、2014年4月4日の政府の閣僚会議で導入を決定した。日本で建設分野の技能実習を修了した外国人が国内で建設業務に従事できるようにする。技能実習修了後も国内にとどまる場合は最長2年間、帰国後1年以上たって再入国する場合は最長3年間の活動(建設特定活動)を認める。
3年間の経験を持つ「経験者」として処遇
国交省のガイドライン案では、外国人建設就労者が国内でおおむね3年間の技能実習を修了していることから、3年間の経験を持つ「経験者」として処遇するように明記。報酬額を決める際には、3年間の経験を積んだ日本人技能者と比較して適切な金額を設定する必要があるとした。比較できる日本人技能者がいない場合は、就業規定に基づいて3年目の労働者に支払うべき報酬額などから算出することも例示した。
外国人建設就労者が従事できる業務は原則、技能実習を受けた職種や作業に限定した。ただし、工程上分離できない業務の場合は、技能実習と異なる職種や作業に従事することも認めた。外国人建設就労者が複数の職種に従事する場合は、職種ごとに報酬額を設定することも明示した。
外国人建設就労者の送り出し機関については、現地の政府機関、または政府の認定を受けた機関に限定。送り出し機関が外国人本人や家族から失踪防止などの名目で保証金を徴収したり、雇用契約の不履行に関わる違約金の契約を結んだりしている場合は、その機関からの受け入れを禁じる。
特定監理団体が月1回受け入れ企業を訪問
受け入れ企業を監督・指導する「特定監理団体」は、技能実習修了後に帰国して再入国した外国人建設就労者に対して、入国後6カ月間にわたって受け入れ企業を月に1回訪問し、就労状況を確認する。外国人建設就労者が転職を希望する場合は相談に乗り、受け入れ企業との話し合いを仲介したり、受け入れ可能な傘下の別の企業を紹介したりする。特定監理団体の認定では、団体自体に加え、その役員や管理者、監理に従事する常勤職員も過去5年間に不正行為を行っていないことを要件としている。
外国人建設就労者受け入れ事業は2015年4月1日から始める予定だが、特定監理団体の認定などは同年1月1日から前倒しで実施する。
(日経コンストラクション 谷川博)
[ケンプラッツ 2014年9月26日掲載]