中国景況感横ばい、5月50.1 先行きは不透明感強く
【北京=原田逸策】中国国家統計局と中国物流購入連合会が1日発表した5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.1で前月から横ばいだった。景気判断の節目となる50は3カ月連続で上回ったが、受注を示す指数が悪化するなど先行きには不透明感が強い。
PMIは製造業3千社へのアンケート調査から算出し、受注や生産などが50を上回れば拡大、下回れば縮小を示す。
PMIは3月に大幅に改善し、昨年7月以来8カ月ぶりに50を上回ったが、4月は改善の勢いが鈍り、5月は横ばいだった。生産指数は前月比0.1ポイント高い52.3と50を上回り、製品在庫指数も改善した。生産が拡大し、在庫を積み増す前向きな動きが出ている。
ただ、企業の規模別にPMIをみると中堅企業と中小企業は改善したが、大企業が50.3と前月より0.7ポイント悪化した。過剰設備を抱える鉄鋼業や石炭業の不振が影響した可能性がある。
今後の動向も不透明感が強い。景気の先行きを示す新規受注指数は50.7と節目の50は上回ったものの、前月より0.3ポイント悪化した。輸出に限った新規受注指数も50と同0.1ポイント下がった。
原材料購入価格指数は55.3と50は上回ったが前月より2.3ポイント悪化。悪化は昨年11月から6カ月ぶりとなる。先物市場の投機的な動きなどを背景に鋼材価格など商品価格が一時的に上昇したが、足元では再び下がっていることが影響した。
中国国務院発展研究センターの張立群研究員は「経済はまだ安定しているが、先行きの見通しは不透明で需要も安定していない」と分析した。
中国メディアの財新と英マークイットが1日発表した5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.2と、前月から0.2ポイント悪化した。好不況の判断の境目となる50は15カ月連続で下回った。