危険ドラッグ、5年半で4469人搬送 消防庁が初集計
総務省消防庁は19日、危険ドラッグの使用が疑われる救急搬送が2009年1月から今年6月までの5年半で計4469人(参考値)だったと発表した。全国の消防本部に残る救急活動記録を集計した。危険ドラッグが原因とみられる救急搬送の統計は初めて。
保存が義務付けられている過去5年分の救急活動記録から集計した。救急搬送された患者に意識障害などがあった事例のうち、「ドラッグ」「ハーブ」と記録されていたものを集めた。
年別にみると、09年は30人、10年は85人だったが、11年に602人と急増。12年は1785人とさらに約3倍に増えた。13年は1346人、14年は上半期で621人に上っている。
11年以降に急増した理由について、消防庁の担当者は「その頃から危険ドラッグが広く流通したのではないか」とみている。
都道府県別では東京が計1130人と最多で全体の約25%を占めた。大阪536人、神奈川512人、愛知416人、埼玉211人、福岡202人と続いた。
危険ドラッグは大麻や覚醒剤に似た成分を含む薬物で、国は約1400物質を規制している。今回の調査では成分を特定しておらず、「集計はあくまで危険ドラッグの使用が疑われるケース」(担当者)としている。
危険ドラッグが原因とみられる交通事故は全国で相次ぐ。6月には東京・池袋で吸引後に男が車を運転して暴走、7人が死傷する事件も起きた。厚生労働省や警察庁は対策を強化しているが、成分構造を一部変えた新種がすぐ出回るなど、規制や取り締まりが追いつかない状況になっている。