エボラ熱、死者3000人超 WHO、血清利用の指針公表へ
【ジュネーブ=原克彦】世界保健機関(WHO)は26日、西アフリカで感染が拡大しているエボラ出血熱による死者が23日時点で3091人にのぼったと発表した。感染者数は疑いのある人も含め6574人。一部の感染地で混乱が続くなか、WHOは血清を使う治療を急ぐ方針だ。
死者は1カ月前の8月26日に比べ約2倍、7月23日との比較では4.6倍に拡大した。リベリアが1830人と半数以上を占める。集計対象5カ国のうちナイジェリアとセネガルは感染者、死者とも増加が止まった。リベリアとシエラレオネで死者が増え続け、ギニアも緩やかながら増えている。
WHOは9月上旬の専門家会合で、回復した患者の血清を使う治療を優先することで合意した。感染者が増えた一方で、回復して抗体を持つ人も増えたためだ。WHO幹部によると、来週前半にはWHOが血清利用について暫定的な指針を公表する。一方、11月を目指していたワクチン2種類の使用は、来年1月になるとの見通しを示した。
エボラ熱への対応では国際通貨基金(IMF)が26日、ギニア、リベリア、シエラレオネの3カ国に総額1億3000万ドル(約140億円)の緊急支援策を実施すると発表した。
米国は感染国に米兵を約3千人派遣することを決めたほか、安倍晋三首相も追加支援を表明するなど国際社会が感染拡大を防ぐための協力を強化している。
ただ、今月にはギニアで病気への正しい知識を伝えるために活動していた医療従事者ら8人が殺害されるなど、現場での混乱は収束していない。