東電、一律5万円増額和解案を拒否 紛争解決センター提示案
東京電力福島第1原発事故による避難が続く福島県浪江町の町民約1万5千人が、慰謝料の増額を求めた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、東電は26日までに、原子力損害賠償紛争解決センターが提示した「一律月5万円」を増額する和解案を拒否する回答を、センターと町に伝えた。
センターは、一律5万円に加え、75歳以上の高齢者にはさらに3万円増額するとの和解案を示していたが、東電は「高齢で病気の人」に限定し、月2万円増額すると回答した。
浪江町の馬場有町長は26日「実質的に全てを拒否するものであり、被害者の痛みを全く理解していない。再考を強く求める」とのコメントを発表した。
慰謝料は、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が示した指針で、月10万円と定められている。東電は26日の株主総会で質問を受け、回答の中身には触れずに「多くの方に一律に指針を上回る賠償をすることは、指針の考え方から乖離(かいり)し公平性を欠く」と答えた。
浪江町側は25万円増やし一律35万円を支払うよう求め、センターが和解案を提示した。町は既に和解案の受け入れを表明している。〔共同〕