環境相「最終処分場にせず」検討 栃木の廃棄物候補地巡り
東京電力福島第1原子力発電所事故で栃木県内に発生した放射性物質を含む指定廃棄物の処分を巡り、環境省は10日までに、設置する施設を最終処分場にしない方法も検討する方針を決めた。放射性物質の濃度が低減した後、処分場から取り出して更地に戻す。処分場の建設に反対する地元住民から理解を得るのが狙いだ。
望月義夫環境相が9日に宇都宮市内で開いた栃木県内の市長や町長を集めた会議で、「最終処分場にしないことをしっかりと検討する」と述べた。処分してから数十年以上かけて放射性セシウムなどの濃度が低減した後に掘り出し、路盤対策に活用するなどして跡地を原状回復する。
これに対し、処分場の候補地となった塩谷町の見形和久町長は「(指定廃棄物の放射性セシウム濃度は)低減してもゼロにはならない」と反論。「最も汚染された地域に、住民に対する十分な補償のもとに処分場を設置すべきだ」と福島県双葉町・大熊町の福島第1原発周辺に集約すべきだと改めて主張した。
会議に出席した栃木県の福田富一知事は、指定廃棄物が県内に170カ所に分散されて保管されている点を指摘。「苦渋の選択だが、国が全責任を持って県内に処分場を設置して安全に処分するのが現実的な解決策」と国の方針に理解を示した。そのうえで、環境省に対し、指定廃棄物に関する国民向けの普及啓発や風評被害対策、処分場の原状回復を要望した。